相撲観戦記 平成22年 初場所


総括

今場所は朝青龍の元気さが目に付く場所でした。豪栄道相手に自滅気味の負け方をしたものの、把瑠都を豪快に投げ飛ばした一番などはまだまだ健在をアピールするものでした。

白鵬も優勝こそ逃したものの最終的に12勝したので大きな問題はないでしょうが、せめて千秋楽まで優勝争いを引っ張ってもらいたかったです。

三役では把瑠都が独り気を吐いていました。直前の3場所の勝ち星が12-9-12で33勝、大関昇進の条件をぎりぎりで満たしているのですが、大関昇進の話がまったくでないのはなぜなんでしょう。

稀勢の里は中盤の尻すぼみが残念でしたが、苦手な把瑠都琴奨菊に勝てたのは収穫でした。

自己最高位の玉鷲もいい相撲を取っていました。上位の稀勢の里を土俵際まで押し込むなど、突き押しの威力の向上が見られました。

35歳の旭天鵬は今場所も安定した四つ相撲を取っていました。地味ながらこの年でこの地位で勝ち越すというのは凄い事なのです。一方、同じく35歳の栃乃洋は幕内でだんだん通用しなくなってきました。左差しの威力が落ちてきています。

阿覧は安易な張り手や変化が減り、内容のある相撲を取っていました。

十両ではベテランの土佐ノ海安壮富士あたりが十両中位で勝ち越し、来場所の再入幕が見えてきました。土佐ノ海はここ数場所、場所後半の失速が見られていますが、今場所は叩きにも落ちず、よく前に出ていました。


千秋楽

霜鳳(上手投げ)北太樹
北太樹が先手を取って右を差すが、霜鳳は左上手を取って体を入れ替えて残すと、上手投げで豪快に転がした。今場所好調の北太樹もよく前に出ていましたが、右四つではやはり霜鳳に分があります。

阿覧(極め出し)光龍
光龍がすぐに二本差すが、阿覧が両肘をきめてそのまま極め出し。光龍としては少し差し方が中途半端でした。差すなら肩口のあたりまで深く差せばよかったのでは。

磋牙司(押し出し)翔天狼
立ち合いすぐに懐に入った磋牙司が右はずで起こし、翔天狼が逃れようとするところを右からいなして押し出した。磋牙司は来場所新入幕ですね。小ささを生かした相撲を取ってほしいものです。

豊響(押し出し)若の里
若の里が張り差しを狙うが体勢が高く、豊響が懐に入って押し出して12勝目、敢闘賞に花を添えた。豊響は迷いがなくていいですね。

嘉風(浴びせ倒し)猛虎浪
猛虎浪が左上手を引いて上手投げを打つが、上手が深く呼び込む形になってしまい自滅。嘉風もそろそろ三役を目指せるような相撲を取ってほしいです。

安美錦(寄り倒し)豪栄道
技能賞が掛かった安美錦と殊勲賞が掛かった豪栄道。お互いに右を差すが、安美錦が左を巻きかえて両差しで寄っていく。豪栄道も下がりながら右を巻きかえるが、安美錦がもう一度巻き変えて寄り倒し。安美錦の技術はさすがですが、豪栄道はもったいなかったですね。

稀勢の里(押し出し)豊ノ島
稀勢の里が右上手、両差しも構わず出て行くが豊ノ島は左に回り込んで残す。豊ノ島は何とか離れようとするが稀勢の里は廻しにこだわらずに突き放して押し出した。

把瑠都(上手出し投げ)旭天鵬
把瑠都が右四つ左上手で頭をつけ左から出し投げ。殊勲賞に花を添えた。頭をつける相撲は少し窮屈にも見えますが、相手も長身だったので問題はないでしょう。

琴欧洲(すくい投げ)日馬富士
日馬富士が右のど輪で押し込むが琴欧洲が右からあてがって押し返すと右をねじ込んで掬い投げ。両者ともに今場所はやや期待はずれでしたが、来場所はしっかりと体調を整えてがんばってほしいものです。

白鵬(寄り倒し)朝青龍
朝青龍が左前褌を取るがすぐに切れ白鵬が逆に上手を引くと、左外掛けで足元を脅かしながら、最後は上手投げで崩して寄り倒し。白鵬は意地を見せました。


十四日目

猛虎浪(首投げ)栃煌山
栃煌山が立会いすぐに両差しになって攻め込んだものの、猛虎浪が右から首を抱えると逆転の首投げ。栃煌山としては非常にもったいない黒星でした。こういう負けを減らしていかない限りは大関どころか三役定着すらままならないでしょう。

阿覧(押し出し)岩木山
阿覧が左おっつけ、岩木山が引いたところをそのまま押し出し。今場所の阿覧はいつもより前に出ています。

土佐豊(寄り倒し)翔天狼
土佐豊がさっと両差し、翔天狼も左の上手を引いて右で首を巻くと強引に右から捻りながら左の上手投げを打つが、土佐豊は体を密着させて寄り倒した。土佐豊はうまく体を寄せて相手の上に乗るようにしていったのが勝因でしょうか。

豊響(押し出し)玉鷲
踏み込みは豊響が勝ったが、豊響の突きが外れると玉鷲が逆襲、豊響をのど輪で追い込むが豊響がもう一度下から押し返し、体を起こして押し出した。両者ともに一歩も引かない好勝負でした。

雅山(押し出し)朝赤龍
朝赤龍は左の前褌を狙うが、雅山も突っ張って廻しを与えず、体を密着させて押そうとする。朝赤龍も上手く押しをかいくぐって右を差して出て行くが、雅山が左からおっつけて体を入れ替えて押し出した。雅山もパワーが落ちてきましたが、朝赤龍もまだ万全とはいいがたいようです。

旭天鵬(寄り切り)琴奨菊
両者すぐに右を差し右四つ、旭天鵬が左上手を取ってガブって寄り切った。琴奨菊はやや工夫がなかったでしょうか。

安美錦(突き落とし)鶴竜
安美錦が立会い押し込んで、鶴竜が右を差して残そうとするところを右から突き落とし。お手本のような見事な突き落としでした。

把瑠都(大逆手)垣添
把瑠都がはさみつけて押し込むが垣添も右からいなして残し、懐に入って深く左を差して寄る。しかし把瑠都は右上手を引いて残し土俵中央まで寄り返すと、右上手から振り回して転がした。把瑠都は勝ちはしましたが非常に危うい相撲でした。把瑠都としては早く捕まえるべきでした。

魁皇(上手投げ)稀勢の里
当たってすぐに左四つがっぷり、稀勢の里が先に右上手を引くが魁皇もすぐに右上手を引き、稀勢の里が出る所を強引な上手投げで転がした。魁皇はまだまだあの形になると強いですね。稀勢の里としては左の差し手を返すなど上手を与えないようにする工夫がほしかったです。


十二日目

霜鳳(下手投げ)磋牙司
磋牙司が頭をつけようとするが、霜鳳が前に出ながら右を差して掬い投げ。磋牙司は入幕に向けて正念場です。

光龍(突き落とし)高見盛
光龍が回しを与えずにのど輪で攻め込むが高見盛ものけぞりながら残して左四つ。光龍は右上手を引くが四つが不得手な光龍は攻めきれず、高見盛は左の差し手を返しながら寄り返し、さらに右もねじ込んで両差しになり、万全の体制かと思いきや、高見盛が出てくるところを光龍が右から小手投げ気味に突き落として逆転。高見盛は下手投げで決めたほうが安全だったかもしれません。

岩木山(寄り倒し)朝赤龍
岩木山が朝赤龍の左を引っ張り込んで朝赤龍に落ち着く機会を与えず、小手投げで振り回しながら最後は寄り倒し。岩木山はとにかくよく動いたのが勝因でしょう。

垣添(押し出し)北勝力
垣添が立ち会いに思い切って左に変化すると相手を見ていなかった北勝力は俵まで一直線。何とか踏みとどまろうとしたところを簡単に押し出された。垣添は三役復帰に向けて残り3つをすべて勝ちたいところです。

鶴竜(押し出し)雅山
雅山が良く突っ張ったが鶴竜も下がらずしたからあてがって逆襲、一気に押し出した。雅山は上位では厳しくなってきました。

日馬富士(送り出し)白鵬
日馬富士が白鵬が右から張ろうとしたところをさっと左へ体をかわして後ろにつき、送り出した。白鵬は捕まえられない事に対するあせりがあったでしょうか。


十日目

岩木山(上手投げ)栃乃洋
岩木山が右の上手を引き、前に出ながらの上手投げ。以前と比べて栃乃洋の左差しも通じなくなってきました。

豊真将(寄り切り)光龍
光龍が突っ張って距離を取ろうとするものの、豊真将が左の上手を引いてそのまま寄り切り。豊真将もこのままでは三役どころか幕内維持すら危ういので、早い攻めを身に着けてがんばってほしいところです。

土佐豊(押し出し)玉鷲
玉鷲が立会いから突っ張って土佐豊に廻しを与えなず、引かせる場面もありましたが、最後は重心の低さで勝る土佐豊が下側にもぐりこんで押し出し。両者の持ち味が発揮されたいい相撲でした。

安美錦(押し出し)阿覧
安美錦が頭を下げて阿覧に引かせて押し出し。阿覧も今場所はよく前に出ていましたが、今日は駄目でした。

旭天鵬(寄り切り)北勝力
北勝力がいつもの通りのど輪で押そうとしたもののいつもの通り通じず左四つに止められ、右上手を引いた旭天鵬が寄り切り。旭天鵬も35を超えるベテランながらまだまだ安定して強いですね。

豊ノ島(押し出し)把瑠都
把瑠都が例によって肩越しの上手を引くがこれが深かったために引きつけが通じず、豊ノ島がもぐりこんで押し出し。把瑠都は上手の位置を考えて取った方がよかったですね。

白鵬(押し出し)琴奨菊
白鵬が左から張って琴奨菊に左を差させず、右のど輪で押し出し。琴奨菊もなかなか開花しませんね。


初日

豊真将(寄り切り)土佐豊●。
豊真将がまわしの色を青から黒に変えていましたね。取り口は相変わらず遅いままでしたが、何はともあれ白星を手に入れのは良かったんじゃないでしょうか。相手の土佐豊はもうちょっと自分から攻める姿勢を見せたほうが良いですね。いつまでもうっちゃりに頼っているわけには行きませんし。

時天空(送り出し)朝赤龍●。
左前褌を引きいい体勢を作りながら攻めきれない朝赤龍と、そのまま寄れば勝てる体勢なのにすそ払いに行って体勢を崩す時天空。二人ともこのままでは復活は望めなそうです。

旭天鵬(寄り切り)嘉風●。
旭天鵬が嘉風に突っ張らせず、体を密着させて両側から抱え込んで寄り切り。旭天鵬のうまさが光る一番でした。

稀勢の里(押し出し)千代大海
千代大海の立合いはまったく通じず、すぐ引いてそのまま土俵の外へ。やはり今場所限りで見納めでしょうか?

把瑠都(押し出し)北勝力
把瑠都が一方的に押し出し。北勝力は麒麟児のような勝ち越しと負け越しを交互に繰り返す力士になるのでしょうか。

豪栄道(下手投げ)琴光喜
琴光喜が右四つ左上手を十分に引いて万全な形、後は豪栄道の右下手投げを警戒しながら出て行くだけ、かと思いきやあっさりと下手投げを食う琴光喜。日本人大関最後の砦はこのまま終わってしまうのでしょうか。

琴欧洲(寄り切り)豊ノ島
琴欧洲が右を差し、30cm以上小さい豊ノ島の胸に頭をつけて一気に寄り切り。今場所の琴欧洲は苦手な安美錦が対戦圏外にいるので、今場所はチャンスかもしれません。

白鵬(寄り倒し)鶴竜
右四つから両者巻き変えて左四つ、白鵬は右上手がやや深かったもののじりじりと引き付け、粘る鶴竜を寄り倒しました。鶴竜は良く粘りましたが、白鵬に隙があるかというとそんなことはなかったです。


場所前

さて、今場所はどうなるでしょうか。今場所も朝青龍白鵬を中心に賜杯争いが繰り広げられることは間違いないので、ここに琴欧洲日馬富士が絡んでいけば場所全体が盛り上がる事になりそうです。

関脇以下では引退の懸かった千代大海、今度こそ大関取りの足がかりを作りたい琴奨菊、先場所12勝の栃ノ心あたりに焦点が当たる事になりそうですが、上位と総当りで10勝しなければならない千代大海は苦しそうです。現段階で互角以上に戦えそうなのは、栃ノ心北勝力垣添ぐらいでしょうか。琴奨菊は特に苦手な相手がいるわけではないので、うまく行けば大勝も出来そうです。栃ノ心は勝ち越しが第一目標になりそうでしょうか?

十両では海鵬土佐ノ海豊桜の動向が気になるところです。海鵬は7勝、豊桜は5勝、土佐ノ海は4勝が残留内定ラインでしょうか?

幕下ではついに幕下一桁に昇進してきた竜電と、悲願の十両昇進を狙う宇映、元幕内で幕下2枚目まで番付を戻してきた琉鵬に注目です。


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