短編集


「接頭語」
ポポ「あ…お皿並べるの手伝おっか?」
ナナ「あ、大丈夫だよ、ゆっくりしてて…足、まだ痛むんでしょ?」
ポポは先ほどの試合で左足をひねってしまっていた。幸い、Drマリオが迅速かつ適切な手当てを施してくれたおかげで大したことにはならなかったのだが、それでも二、三日は安静にしていろ、とのことだ。
ポポ「うん……ごめんね…一人でやらせちゃって…」
ナナ「あ、いいんだよ、気にしないで…それよりおいしいもの食べて、ちゃんと休んで早く治して…ね?」
ポポ「ありがとう……そうだ、今日のご飯のメニューは何?」
ナナ「えっと…お豆腐のお味噌汁と、あと茄子のお漬物と…あと…ちょっと奮発して鯛のお刺身とか…………どうしたの?」
ポポはなにやらものいいたげな表情でナナの顔を見つめていた。
ポポ「いや………ナナちゃんって言葉の前によく「お」って付けるよね、「お豆腐」とかさ」
ナナ「え……?あ、うん……変かなあ………?」
ポポ「あ、いや、丁寧な感じがしていいと思うよ?」
ポポがあわてて首を横に振る。
ナナ「そう…でもそんなに言ってるつもりはないんだけどなあ……ポポくんのことおポポ君とかいったことないし……」
ポポ「ぷっ…、あははははは!おポポ君!あははははは…!」
ナナが真面目な顔で突然とんでもないことを言うので、ポポは思わず吹き出してしまった。
ナナ「……ポポ君…そんなに笑わなくたっていいじゃん……」
ちょっぴり頬を赤くしながらナナが言う。
ポポ「あははは、ごめんごめん、でも…ははははは、は、うっ、ごほっ、ごほっ……」
ポポはあまりに笑いすぎてむせ込んでしまった。
ナナ「ちょっ、ちょっと、ポポ君、大丈夫?落ち着いて…」
ナナが背中をさする。
ポポ「うっ、ごほっ、ごめん、ナナちゃん、お水ちょうだい、お水……」
ナナ「うっ、うん……」
ナナは慌てて台所に駆けていくと、コップに水を注いで急いで持ってきた。
ナナ「はい、ポポ君、早く飲んで…」
ポポ「はあ、はあ、ありがとう…」
ナナ「…………」
ポポ「…う…ふう……どしたの?僕の顔になんかついてる?」
ナナがさっきからじっと自分を見つめていることに気付いたポポが、きょとんとした表情で尋ねる。
ナナ「あのさ……ポポ君……ポポ君もさっき水のことお水っていってたよね……」
ポポ「え?そう…だった?…僕も「お」ってつけてた?」
目を丸くしながらポポが尋ねる。
ナナ「うん……」
ポポ「そう…全然気づかなかったよ……」
ナナ「ふふふ……あんなこといってたのに……私と一緒だね…?」
ポポ「はは……そうだね……」
珍しくいたずらっぽい表情でナナが笑みを見せるので、ポポの顔もつられてほころんだ。
ポポ「ふう…笑い疲れちゃった………さめないうちに食べよっか?」
ナナ「ふう…そうだね、それじゃあ……」
ポポ&ナナ「いただきまーす!」

「変な癖」
ポポ「あっ、マリオさんだ、おっはよー!」
ポポは目の前を行くマリオに元気よく飛びついた。
マリオ「おう、おはよう…足はもうよくなったか?」
ポポ「うん!心配してくれてありがと♪」
ポポはそういうと左足をとんとんと踏み鳴らした。
ポポ「ね?」
マリオ「そうか、よかった…………なあ、ひとついいかな?」
ポポ「なに?」
マリオ「その……何だ、お前のその、みんなのお腹を触ろうとする癖は何とかならないのか?」
いいづらそうにマリオが言う。
ポポ「え…?あ…迷惑だった?ごめん…つい…むかしっからの癖で…」
ポポがちょっと視線を落としながらすまなそうに言う。
マリオ「あ、いや、俺はかまわないんだけど、ほら、中には嫌がる人もいるからさ…女の人とかは特に……」
ポポ「うん…これからは気をつけるよ」
マリオ「ああ、頼むよ…でもなんでそんなことをしてるんだ?人のお腹触って楽しいか?」
ポポ「うん…ナナちゃんは防寒服を着てるからもこもこしてて触ってて気持ちいいんだ…それとマリオさんとヨッシーさんはぷよぷよしてるから…それも気持ちよくて…」
マリオ「へえ……それはあれか、俺が太っているって言う…」
ポポ「いやっ、その、そういうわけじゃ……」
マリオ「…」
ポポ「ひっ!あっ、あはははは!や、やめて、くすぐったい!」
ポポの気持ちを理解しようとしたマリオがポポのお腹をすりすりと撫で始めた。
マリオ「……別に楽しくないけどなあ……?」
ポポ「マリオさん、やめてぇ…ひぃ…」
ポポが思わずヘたりこむ。
マリオ「あ?ああ……」
涙を浮かべてくすぐったがるポポの、悲鳴に近い声を聞いたマリオがポポのお腹から手を離す。
ポポ(はあ……やられるほうはこんなくすぐったかったんだ……)
この日からしばらくポポは人のお腹を触るのを控えたそうな。

「欠片」
今日は二人の両親の命日。
ポポ「早いね…僕らのパパとママが逝ってからもう三年か……ううっ」
ナナ「とりあえず私たちは二人とも元気だよ……………ぐすっ……」
二人は自然とあふれてくる涙をぬぐった。
ポポ「……………あれからいろいろあったけど、今はナナちゃんと一緒に仲良く生きているから………」
ナナ「………だから心配しないで休んでてね………」
ポポ「…………」
ナナ「…………」
二人はしばらくの間、目を閉じてお墓の前に正座し、手を合わせた。
ポポ「………帰ろうか………」
ポポが立ち上がりナナに手を差し延べる。
ナナ「……うん……」
そう言ってナナがポポの手をとろうとしたとき……
????「ありがとう……」
ポポ「…え?なんか言った?」
ナナ「ううん…ポポ君じゃないの?」
ポポ「ううん……まさか……まさか……いや、そんなことあるわけないよね……」
ナナ「…うん…………まさかね…」
ポポ「…早く帰ろう、みんな待ってるよ!」
ナナ「うん!」
????(…仲良くやれよ…)
仲良く手をつないでいくふたりを、「彼ら」は優しい目で見送るのだった。

「微妙なすれ違い」
ナナ「ポポ君、見て、このお花きれいでしょ?」
(ポポ君……喜んでくれるかな……?)
ポポ「あ…うん、ホントだ、きれいだね(にこっ)」(お花のことははあまりよくわかんないなあ……でもナナちゃんが嬉しそうだからいいか……)
ナナ「でしょ(にこっ)?」(よかった…喜んでくれた…)」

「変身」
ある冬の朝。
ヨッシー「おはよ〜ポポく〜ん、今日は一段とひえるね〜」
ヨッシーがいつものようににこにことポポに話しかける。
ポポ「う、うん……そうだね……」
ポポが小さな声でうつ向き気味に答える。
ヨッシー「あれ〜?なんかポポくん、いつもと雰囲気が違わない?」
ポポ「そ、そんなことないよ……たぶん……」
一瞬顔を上げかけたポポだったが、なぜか慌てたようにまた顔を伏せてしまった。
ヨッシー「そうかな〜?なんかおかしいよ〜?」
ヨッシーがかがんでポポの顔をのぞきこむ。
ポポ「ちょっと……あんまりじろじろ見ないでよ……恥ずかしい……」
ポポが顔を隠すように、頬に両手を当てる。
ヨッシー「ん〜〜…?これはもしかして〜……ごめんね〜、ちょっといいかな?」
ポポ「え?な、何を……」
そういうとヨッシーはポポのフードをゆっくり外した。そこにいたのは……おとなしそうな女の子だった。
ヨッシー「やっぱりナナちゃんだ〜♪」
ナナ「やっぱり…わかっちゃっいました?」
ナナが頭をぽりぽりかきながら言う。
ヨッシー「そりゃあいくら見た目が似ていても、ちょっと話せばわかるよ〜……でもなんでポポ君の防寒着を着てるの〜?」
ナナ「その……ポポ君が……みんなが気づくかどうか試してみようかって言って……面白そうだなって思ったから……つい…」
ヨッシー「へえ〜〜…確かに最初はわかんなかったよ〜」
感心したようにヨッシーが言う。
ナナ「あの……だまそうとしてごめんなさい……」
両手をすりあわせながらナナが言う。
ヨッシー「あ、ううん、気にしなくていいんだよ、全然怒ってないから…それよりポポ君はうまくだませてるのかな〜?」
ナナ「さあ…?見に行きましょうか…?たしか向かいの部屋にいるはずですけど…………」
ヨッシー「うん、見に行こっか」
二人は部屋を出ると、廊下のすぐ向かい側にある部屋の前に立った。
ナナ「このお部屋の中にいるみたいです…」
ヨッシー「どれ、そ〜っとのぞいてみようか」
ナナ「はい…」
音を立てないように静かに少しだけ戸をあけて、部屋の中をのぞきこむ。

部屋の中━━
ルイージ「やぁ、おはようナナちゃん」
ナナの格好をしたポポ「おはよー、ルイージさん、今日は寒いね」
ルイージ「そうだね…そうだ、カイロ使うかい?」
ナナの格好をしたポポ「いいの?ありがとう……」

一方、廊下では━━
ナナ「うまく溶け込んでますね…」
ヨッシー「うん…全然気づいてないね〜……」

再び部屋の中━━
ナナの格好をしたポポ(そろそろばらしちゃおっかなあ…)「ねえ、なんか気付いたことない?」
ルイージ「いや…?いつも通りじゃない?」
ナナの格好をしたポポ「…ホントに…もっとよく見て?」
ポポがルイージにずいっと顔を近づける。
ルイージ「ん〜〜…べつに…だけどなあ……」
ナナの格好をしたポポ「え〜?」

再び廊下では━━
ナナ「まだ気づかないみたい………」
ヨッシー「もう出ていってあげたら?」
ナナ「うん……」
ヨッシーに促されたナナがドアを開けてポポたちのいる部屋に入る。
ナナ「あの〜……」
ルイージ「おお、おはよう、ポポ君…どうしたの?あんま元気ないみたいだけど…」
ナナ「…………分かりませんか?」
そういうとナナはフードを外した。
ルイージ「え……ん?あっ!ナナちゃん…?!ってことは……」
そういうとルイージはピンク色の防寒服を着た目の前にいる子のフードをはずした。中から現れたのは、してやったりといった表情をした男の子だった。
ポポ「へへへ〜、わかんなかった?」
ルイージ「は〜…気づかなかったわ………」
ポポ「えへへ〜…」
ナナ「ごめんね、ルイージさん……」
ルイージ「いやあ…いいよいいよ、でもわかんなかったなー…でももう服は元に戻したら?トイレや更衣室とか行ったときに誤解されてもやだし………」
ナナ「うん…でも…着替えるには更衣室行かなきゃいけないんだよね……」
結局二人は更衣室に入るにはいれなかったので、服を交換することなく一日を過ごした。

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