白雪王子


ザー――――……

はああ、梅雨っていやだね。毎日毎日大雨がふってさ。これじゃどこにも遊びに行けないよ。というわけでぼくたちは今仕方なく、寮の中でかくれんぼをしている。今の鬼はネス。さて、どこに隠れようかな……

「いーち、に−い、さーん、よーん、ごーぉ、ろーく……」

う〜ん、よし、とりあえず押入れの奥にでも隠れよっ。ぼくは押入れをあけて、中に入り込む。とりあえず外から開けただけじゃすぐにはばれないように、押入れの中にあったトイレットペーパーをぼくの前に積んでカモフラージュをする。……よし、これで完璧っと。

「しーち、はーち、きゅー、じゅー!もういーかい?」
「もういーよ!」

さあネス、探せるものならば探してみたまえ。でもそう簡単には見つからないぞ。……ん、誰かが部屋に入ってくる気配がするぞ。まさかもうネスがこっちの部屋に向かってきてるんじゃないだろうな……

「ゼルダ、紅茶を入れてくれるかしら?」
「いいわよ、ちょっと待っててね」
「やれやれ、よっこいしょと。暑いわね、今日も」
「よっこいしょってあなた、おじさんじゃないんだから」
「しょうがないじゃない、出るものは出ちゃうんだから……あ、ゼルダ、何かお菓子も持ってきて!」
「わかった、ちょっと待っててね」

これは……サムスさんとゼルダさんとピーチさんの声だ。女の人たちでお茶会でもするのかな?ま、ぼくには関係ないや……ん、また誰か来たな。足音がするぞ。

「すいませーん、誰かいますかー?」
「あらネス、なんか用?」
げ、ネスだ。こっち来るなー。
「あ、ピーチさん、ポポ見なかった?」
「いや、見てないわよ。他の場所にいるんじゃない?」
「そっか、ありがと、じゃね」
「はいはい、またね」

よしよし、行ったみたいだな。ピーチさんナイス!これでだいぶ時間が稼げたぞ。

「おまたせ、みんな。紅茶とお菓子持ってきたわよ」
「あ、ありがと、ゼルダ。さ、座って座って、ピーチ、もうちょっと詰めてあげて」
「はいはい」

むー、なんか楽しそうだな。ぼくもかくれんぼ終わったらおやつにしようっと。

「いやしっかし暑いわねー。いつになったら涼しくなるのかしら?」
「またあなたはそんなはしたない格好で……でも、確かに暑いわねぇ」
「ホントねー、もう9月だって言うのにねー」
「ナナちゃんはその格好で、暑くないの?大丈夫?」
「……あ、はい、私はこのくらいでちょうどいいんです」

ん、何だ、ナナちゃんがいるのか。まあナナちゃんだって女の子だからね。いても不思議じゃないか。

「あらーそーなの……でもまあ、熱中症には気をつけなさいね」
「はい……」
「それよりピーチ、あなた最近マリオとはどうなの?」
「えー、どうって、まあ、普通よ普通」
「普通って何よー」
「普通は普通よっ」
「もー、じれったいわねー。いい加減にくっついちゃいなさいよー、うりうり」
「な、なによ、そういうあなたはどうなの?」
「え、私は男なんかにうつつを抜かしている暇なんかないわー。仕事一筋だからね」
「はいはい、そうですかー」
「なによー、自分から聞いといてその態度は」
「ゼルダはどうなの?」
「えー、私?私はねー……ふふふ、秘密」
「えー、そりゃないでしょ、そこまで意味深な発言しておいてさー」
「えー、聞きたいの?しょうがないわねぇ、実はこの前リンクと二人で……」

……何だこの会話。っていうか、今のゼルダさん絶対隠す気なかったよね。みんなに聞きたいって言ってもらえるってことがわかった上で、話を振ってるよね。大人ってずるいね(?)。

「えー、そんなことがあったの!?あなたも隅に置けないわねー」
「ふふ、そうかしら?でもたまたまよ、ホントに……そうだ、ナナちゃんはどうかしら?」
「え、わ、私?」
「あ、そうよ、あなたさっきから人の話聞いてるばっかりじゃない、ずるいわー、あなたの話もしなさいよー、あなたはポポ君と最近何かなかったの?」
「え、私は……わ、私のことはいいじゃないですか、それよりゼルダさんの話し聞きたいで……」
「ふふ、だめよ、ナナちゃん。みんなが話したんだから、あなたも話しなさい?」
「そうよ、このこのー」
「あ、やめて、くすぐったいです……分かった、話すからやめてくださいぃ……」

あ、ナナちゃんが遊ばれてる。くそー、ぼくも参加したいな。にしても最近ぼく、ナナちゃんとなんかあったっけか?いつもみたいに一緒に過ごしてただけなんだけどなー。

「わ、私この間ね、その、ポポ君と、その、あの、キス、しちゃった……」
「まあ!聞かせて聞かせて」

……はあー!?おいおいナナちゃん、夢でも見てたのかぁ!?ぼくはナナちゃんとキスなんかしてないぞ!!

「あ、違うんです、あの、しようねっていってしたわけじゃなくて、ポポ君が寝てるときに、そっと……」
「あらー、大胆!」
「やるわねえ、ナナちゃん……」

WOW!ナナちゃんそんなことしてたのか〜、びっくりしたなあ、人が寝てる隙にそんなことをもう……でも、ちょっとうれしいかも……どうせなら起きているときにしてくれたら、もっとうれしいけど。

「あ、ぜ、絶対にポポ君には内緒だよ!!私がこんなことしてたってばれたら、嫌われちゃうよ……」
「はいはい、わかってるわよ、にしてもびっくりしたわね、ナナちゃんがそんなことしてたなんて……あなたも変なところで大胆よね」

ぼくだってビックリだよ、もう、声でそうになっちゃった……っていうかこれから、ナナちゃんとどんな顔して付き合えばいいのよ……

コンコン

「あ、誰か来たわよ」
「ちょっといい?」
「あら、ネス、まだなんか用?さっきもいったけど、ポポ君はここにいないわよ」
「あ、うん、でも念のために押入れの見せてもらっていい?」

ぎくぅ!や、やばい、見つかっちゃうよ!

「え、別にいいけど……」
「んじゃ、失礼しまーす、ポポ、いるー?」

やばいやばいやばい見つかる見つかるどうしようこのままじゃナナちゃんとご対面だよどうし

ガラッ!

「あー、見っけた!」
「あ、ああ、見つかっちゃった、あはは……」
「……え、ポポ君、何でそんなところに……?」
「かくれんぼだよ、ね、ポポ。今度はポポが鬼だよ!早く10数えてね、じゃ!」
「あ、うん……」

かけていくネスを呆然と見守るぼく。視線を感じて振り返ると、顔を耳まで真っ赤にしたナナちゃんと目が合った。

「あ、やあ、ナナちゃん、元気だった……なーんて……」
「あ、あの、聞いてた?聞いてない、よね……聞いてないよね?」
「ごめん、全部聞いちゃった、はは……」
「……ご、ごめんなさい!その、つい、あの、なんていうか、ポポ君の寝顔が素敵だったから、あの……ごめんなさいっ!」

何度も頭を下げるナナちゃん。別にいやな気分になったわけでもないのに、そんなことをされるとなんだか気が引けるな……よし。

「あ、いや、うん……あ、ナナちゃん、ちょっとこっち来て」
「え?あ、うん」
ぼくは無防備に近づいてきたナナちゃんのをそっと引き寄せ、綺麗な唇にチュッと口づけする。ぬふふふ、これでおあいこだね。
「んー……っ!」
「ん……はい、これでおあいこね」
ぼくはナナを引き話して笑顔で問いかける。あ、あれ、ナナちゃん、固まってるぞ……

「ナナちゃん、どしたの、おーい、大丈夫?」
「あ、あ……」
「あらあら、大丈夫?しっかりなさい」
「あらあ、お熱いトコ見せ付けてくれるじゃない、お二人さん、うらやましいわー」

ゼルダさんがひざから崩れ落ちたナナちゃんを支え、サムスさんとピーチさんはぼくを冷やかす。あちゃー、周りに人がいること忘れてた!きゃー、はづかしー。

「あ、あはは、ちょっと大胆だったかな?ナナちゃん、ごめんね、いきなり」
「あ、う、うん、私のほうこそ、ごめんなさい、寝てる間にへんなことして……」
ナナちゃんはさらに輪をかけて顔を赤くしている。かわいい。

「じゃ、じゃあ、ぼく、かくれんぼの途中だから、じゃあまたね、ナナちゃん」
「あ、うん……」

気まずくなったぼくはそそくさと部屋を後にした。ナナちゃんの唇、やわらかかったな……

「よう、ご両人、今日も仲いいな」
「暑いね〜……、あ、君らのことじゃないよ?」
「わ、わかってるよ!」

それから数日間、ぼくとナナちゃんがキスしたことをピーチさんが言いふらしたらしく、ぼくらはいろんなところでからかわれた。うう、やっぱり人前でキスなんかするんじゃなかったぁ……。でもまあ、ナナちゃんもまんざらじゃないって顔しているし、別にいいか。チャンスがあったら、またしちゃおうっと。そのときはきっと二人っきりで、ね。

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