女心とあとなにか


ああ、今日もいい天気ね。こんな日に公務をたくさん入れるなんて、キノじいったらどうかしてるわ。仕事なんか他にやることが何もないようなときにやればいいのよ、まったく。
……ってなわけで、お手洗いに行く振りをして、お仕事を抜けてきちゃった。私の芝居にだまされるなんて、キノじいもまだまだ甘いわね。さーてと、抜け出したはいいけど、何をしようかしら……、そうだ、近くの草原でお昼寝でもしましょ。お外でお昼寝なんてちょっとはしたないかもしれないけれど、口うるさいキノじいもキノピオも見てないみたいだし、かまわないでしょ。
「あ、ピーチさん、こんにちはー」
あら?誰、私を呼ぶのは?まさかもうキノじいが迎えに来たのかしら?でも、キノじいは私のことをさん付けでは呼ばないし……あたりを見渡しても、誰もいないわ。
「ピーチさん、うしろ、うしろ」
「え?あ、あら、ポポ君。どうしたの、こんなところで?」
「どしたのって、ナナちゃんと二人で日向ぼっこしてただけだよ?」
ナナちゃんと日向ぼっこって……その肝心のナナちゃんがいないじゃない。そのことを尋ねると、ポポ君は少し離れたところで横になっているナナちゃんを指差した。ナナちゃんはお日様に当たっているうちに、眠たくなって眠っちゃったんだって。いいわね、子供は寝たいときに寝れて……
「あのさ」
「なに?」
「ピーチさんこそこんなところで何してるの?」
ギクッ!そのことを聞くなんて、この子も結構意地悪ね、まあ本人に悪気はないんでしょうけど。とりあえず「えーっと……さ、散歩よ散歩」ってごまかしておいたけど、ポポ君はあまり信用してないみたい。
「ふーん……ま、いいや、ピーチさん。外にやることないなら、少しお話しよ」
「え?いいけど、何のお話?」
私が聞くとポポ君は少しためらってから、ぼそっと「女心」と答えた。なんでもナナちゃんの考えていることが最近分からなくなってきたから、女心をちゃんと勉強して彼女の考えていることをわかるようになりたいんだって。あぁん、かわいいわね。マリオにも見習ってほしいわ。
「お願い、ピーチさん、僕に女の子の気持ちを教えて」
「いいわよ、そんなに言うなら私が女心というものを1から10まで教えてあげるわ」
「ほんとに?やったー」
「で、あなたは女の子の何が知りたいの?」
「う〜ん……女の子が男に求めるものってなあに?」
「そうねえ……ま、私の場合は同じ目線で話してくれること、かしらね」
「同じ目線?なにそれ」
「いやみな話になっちゃうけど、私ってほら、一応はお姫様でしょ?」
「うん」
「だから、なんていうか、対等な目線で話してくれる人が少なくてね……こっちは全然気にしてないのに」
「へ〜……」
「マリオたちは、そういう身分の差みたいなの気にしないで話してくれたからうれしくて、そういうところに惚れちゃったのね」
ポポ君は納得したのか、納得していないのかよく分からない反応をしている。ちょっと子供には理解しづらい話だったかしら?
「どしたの?」
「でも、ナナちゃんはお姫様じゃないし、もともとナナちゃんと僕は対等な関係だし……同じ目線って言われても困っちゃうな、もともと同じ目線で話しているつもりだし。具体的にはどうすればいいのさ?」
「う〜ん……もともと同じ目線で話しているなら別に今のままでもいいんじゃない?それとも、今のナナちゃんとの関係に何か不満でもあるの?」
「ううん、違うよ。でももっとナナちゃんとは仲良くしたいと思ってるからさ」
「そうねぇ……まあ、私はナナちゃんじゃないからなんとも言えないけれど、いつも一緒にいてあげるのがあの子は一番喜ぶんじゃないかしら?」
「やっぱそうかな、でも、ナナちゃんたまに一人になりたいって言うこともあるし……」
「あらあら、でもねポポ君。かまってほしいからわざとそういうことを言うことだってあるのよ?」
「え、そうなの?分かりづらいなー」
「そうよ、女心は複雑なんだか……」
「姫様、見つけましたぞ!」
「きゃ!?」
突然の大声に振り向くと、そこにはさっき私がまいたばかりのキノじいが……はいはい、そんな怒鳴らなくたって帰りますってば。
「姫様、速くお戻りくだされ!お仕事中ですぞ!」
「あ、おじいさん、こんにちはー、ピーチさん、お仕事中だったの?」
「おお、こんにちは坊や……姫、さ、戻りますぞ」
「はいはい、今行きますよー、じゃあね、ポポ君」
「ん、んん……ポポ君……」
「あら、おはよ、ナナちゃん、じゃあね」
「んー……」
寝ぼけ眼の何が起きているのか良く分からないナナちゃんを尻目に、私はお城へ連れ戻される。ほとんど何もできなかったけど、ポポ君とお話して少しはリフレッシュできたし、お仕事も多少は頑張ってみよっかしらね。

……キノじいがなんか説教垂れてるみたいだけど、気にしたら負けよね、うん。

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