有意義な休日の過ごし方 その6


お土産を買った三人がバスに戻ると、最前列に座っていたキノピオたちが出迎えてくれた。
キノピオ「おかえりなさーい!」
ナナ「あ、どうも、ただいま…」
ポポ「おまたせー」
ルイージ「ただいま〜」
マリオ「お帰りー!これで全員揃ったか?」
キノピオ「そう……みたいですね、そろそろ出発しましょう」
マリオ「そうだな、ほら、二人とも席に戻って!」
ポポ「はーい、じゃあルイージさん、僕らは後ろの席に……」
ルイージ「あ、待って!」
ルイージはそういって座席に戻ろうとしたポポたちを呼び止め、手のひらより少し大きい程度の箱とお茶のペットボトルを「ほら、おなか減ってるでしょ?」と言って差し出した。
ポポ「なにこれ…?お弁当?」
ルイージ「うん、さっきお土産屋においてあったから買ってきたんだ、ほら、どうぞ」
ポポ「あ、ありがとう…席で食べるね!」
ナナ「ありがとうございます…」
二人はぺこりと頭を下げ、礼を言ってから嬉しそうに箱を抱えて自分の席へ戻っていった。その様子をマリオはうらやましそうに眺めていた。
マリオ「あ、いいな、俺も昼ごはん食ってないんだー…」
マリオがぼそっと呟くと、カービィが通路を挟んだ反対の席から声をかけてきた。
カービィ「えー?マリオさんなんでたべなかったのー?」
メタナイト「お前のせいだろうがっ…!」
カービィ「わ、わあ!」
メタナイト「大体お前は!俺はともかく他の人にまで迷惑をかけるな!」
カービィ「い、いたいいたい!」
マリオの隣の席の上ででメタナイトたちがもつれ合っている。マリオは軽く注意してみたが、なんかあまり深く突っ込むと自分まで巻き込まれそうだったので、それ以上はかかわらないようにして運転手に声をかけた。
マリオ「じゃあ運転手さん、出してください」
運転手「かしこまりました〜」
カービィ「わーん、メタちゃんのばかー!」
メタナイト「貴様…!…この口が言ったのか?この口が!」
カービィ「あだだだだだ!」
マリオ(気にしたら駄目、気にしたらだめ…)


一方その席のもう少し後ろでは……
ポポ「いただきま〜…ん?」
誰かに見られているような気がして、ポポは辺りを見回した。視線の主は後ろの座席から顔をひょっこりと出していたネスとリュカだった。
ネス「…よかったら僕にも分けてくれない?おなかペコペコなんだ」
ポポ「…あ、うん、はい、半分」
ネス「ありがと!」
ナナ「あ、私のも良かったらどうぞ…」
リュカ「え……いいの?ありがとう」

一方再び一番前の右列。
ルイージ「兄さん達のも買ってきたんだ、はい」
マリオ「おお、わるいな、わざわざ」
ルイージ「姫たちもどうぞ」
ピーチ「ありがと♪」
キノピオ「わざわざすいません…」

今度は後列。
ディディー「腹減ったね、アニキ…」
ドンキー「起きてると腹が減るから寝てようぜ」
ディディー「おいらも…おやすみ、兄貴」
ドンキー「んー……」


再び前列。
マリオ「ふあ〜、帰りは空いててよかったな………ん?」
マリオがふと外を見やると、窓ガラスに何か言いたげなナナとポポが自分のすぐそばにいることに気がついた。マリオは顔を二人のほうに向けた。
マリオ「どした?またポポが酔っちゃったのか?」
ナナ「いえ、あの、その、そうじゃなくて…」
マリオ「?」
ポポ「あのね…えっと、その……ナナちゃんがね…」
ナナ「あ、あの…ちょっと……トイレに行きたいんです……」
マリオ「え?トイレ…?駄目じゃないか、バス乗る前に行かなきゃ!」
ナナ「ご、ごめんなさいっ…!」
ナナが慌てて頭をぺこりと下げる。
ルイージ「まあまあ兄さん、そんながみがみ言うなって、ね?」
ルイージがやんわりと兄をなだめる。
ナナ「あの、その…お願いします……」
ナナがもじもじと体を動かしながら言う。
ポポ「僕からもお願い!」
マリオ「わかったわかった、運転手さん、次のサービスエリアで止まってください」
運転手「かしこまりました」
ナナ「すいません…………」
ルイージ「いいさ、気にしなくても…おーい、みんなー、ちょっとサービスエリアよってくからねー」
ワリオ「なんでだー?」
ルイージ「トイレ休憩だよ」
ワリオ「そうか、じゃあ俺も一発出していくぜ〜」
それからものの五分もしないうちにバスはサービスエリアに到着した。ナナは申し訳なさそうに小走りでトイレに向かうと、5分もしないうちに帰ってきた。
ナナ「お待たせしました…」
マリオ「おう、早いな、よし、じゃ出発!」
ルイージ「待ってよ兄さん、ワリオがまだだよ」
マリオ「え?あ、そっか、しかたねえなあ、なにやってんだあいつは…」
ワリオ「いやあ、わりいわりい、待ったか?なにぶん糞だったからからな、時間かかっちまった」
ルイージ「糞って…大のほうって言えよ…ま、いいや、運転手さん、出してください」
運転手「かしこまりました〜」

サービスエリアを出発してしばらくすると、それまで後方の座席から僅かに聞こえていただけの寝息がバスの中央部、つまり子供たちがいる席の辺りから聞こえ始めた。その波は急速に周囲に広がり、バス全体を覆った。
マリオ「ん…なんだ、みんな寝ちゃったな…」
ルイージ「だね…そうだ、兄さんは遊園地で何に乗ったの?」
マリオ「うん…ゴーストコースターってのに乗ったな、骨のお化けが追っかけてくるんだよ」
ルイージ「え…?」
マリオ「どした?」
ルイージ「い、いや、別に…」
どっかで聞いたことあるような話だな、と彼は思ったが、兄がせっかく楽しそうに話しているのに水を差すのも悪いと思い、口を挟むのはやめておくことにした。
ルイージ「そ、そうだ、姫も乗ったんですか?」
ピーチ「ええ、タルを取るのがおもしろかったわよ……あんな楽しいのにキノピオったら怖い怖いって泣き出しちゃって……」
ピーチが笑いながら言うと、キノピオが顔を真っ赤にして消え入りそうな声で「ひ、姫え!言わないでくださいよぉ…」と言った。
ピーチ「いいじゃない、ホントのことなんだから…せっかく姫である私が楽しんでるんだからあなたももっと楽しみなさいよ」
キノピオ「だって…恐かったんですもん…」
ルイージ「(僕もそういうのはちょっと苦手なんだよな…かわいそうに)…あとは?」
マリオ「あとな、ふわふわダクトっていうのに入ったな、身体が軽くなって面白かったぞ」
ピーチ「クリスタルどうくつっていうとこにも入ったわよ、きれいだったわ」
それ完全にあれじゃん、のど元まで出掛かったルイージだったが、ぐっと飲み込んで「ふーん、いいなあ…」とだけ言った。
マリオ「それはそうと今日は悪かったな、お守り押しつけちゃって」
ルイージ「いや、楽しかったらいいよ、でも今度はデイジーと来たいな……」
ルイージがそういって遠くの空に彼女の顔を思い浮かべたとき、バスがききいと小さな音を立てて止まった。
運転手「到着しました〜」
ルイージ「お疲れ様で〜す、みんな起きてー、着いたよー!」
ワリオ「う〜ん……」
ヨッシー「きゅ〜…ごはん…」
ポポ「ナナちゃん…好きだよぉ〜………あれ?もう着いたの?」
メタナイト「仮面は絶対にとらん……ん?もうここか…カービイ起きろ」
ネス「ふああぁ…今ポポがすごい寝言を言ったような……気のせいかな?」
眠っていた面子が、まだ眠そうな目をこすりながらとろとろとバスを降りる。全員が降りるのを確認してからルイージもバスを降り、一つ大きな伸びをした。
ルイージ「いやあ、つかれたつかれた……ん?」
服を引っ張られる感覚に彼が下を向くと、そこにはにこにこと微笑むポポ、それとその後ろで少し視線をそらせているナナがいた。
ポポ「ルイージさん…えっと……今日は一緒に向かってくれてありがとう、楽しかったよ!」
ナナ「ありがとうございました…」
ルイージ「ああ、僕も楽しかったよ、ありがとう…ほら、姫にも」
ナナ「あ、ピーチさんもありがとう…いつかお礼するからね」
ポポ「ありがとー」
ピーチ「あら、いいのよ、そんな…」
ポポ「じゃあね!お部屋に荷物置いてくる!」
人にお礼を言うという行為に若干の照れを感じたのか、ポポは身を翻すと、とてとてと部屋へと駆け出していった。
ナナ「あっ、待って…」
ナナもあわてて彼の背中を追い掛ける。そんな二人を見送ってからピーチがルイージに尋ねた。
ピーチ「ねえ、さっきはああいってたけどホントに楽しかった?大変じゃなかった?」
ルイージ「いえ、二人ともいい子にしてましたし楽しかったですよ、ときどき二人の仲の良さを見せつけられてちょっと嫉妬したこともあったけど」
ピーチ「あら、災難だったわね……」
マリオ「まあ、俺達もキノピオにかなり見せつけてたけどな…ね、姫?」
ピーチ「ねー」
キノピオ「ほんとに…見ているこっちが恥ずかしかったですよ…」


一方部屋に戻った二人は…
ポポ「ふう、今日は楽しかったね?」
ナナ「うん、すごく楽しかった……けど…」
ポポ「けど?」
ナナ「もっと大きくなったら…あの遊園地に二人で行きたいな…10年くらいしたら、ポポ君と二人だけで」
ポポ「…いいね!そうしよう、10年後は二人っきりだよ!」
ナナ「…約束だよ?」
ポポ「うん、指切りしよ!」
ゆーびきーりげんまんうそついたらはりせんぼーんのーます!
ポポ「よし!これで約束したからね!」
ナナ「うん、絶対守ってね」
ポポ「もちろん!それじゃお風呂にしようか」
ナナ「うん、そうしましょう」
こうして10年後も一緒にいようと約束した二人。しかしその約束は果たされないことになる。

二人が約束を交わした一週間後。
ナナ「ルイージさん見なかった?あのときの写真が出来たんで渡そうと思ったんだけど…」
ポポ「ルイージさん今日はデートだってよ、この前の遊園地にデイジーって人といくらしいよ?」
ナナ「えっ…?あの遊園地はつぶれたってこの間新聞で見たけど…」
ポポ「ええっ?ホント?」
ナナ「うん、レア社盗作疑惑で訴えられて大変だって聞いたんだけど…」
ポポ「そっかー、残念だなあ、いつか二人で行こうって約束したのに…」
ナナ「うん、でも仕方ないよ…」
ポポ「…そうだ、ルイージさん大丈夫かなあ…?」
ナナ「そういえば………」
心配だね、と二人が互いの顔を見やったその時、虚ろな目をしたルイージが帰ってきた。
ルイージ「ただいまー………」
ナナ「あ、ルイージさ…」
と、ナナが口を開くのと同時に、ルイージが二人に泣きついてきた。
ポポ「な、なに?どうしたの!?」
ルイージ「デイジーに振られたあ……つぶれたことくらい調べておけって……」
彼のほほには大きな手形があった。
ナナ「ルイージさん、泣かないで……」
ルイージ「うわあああぁぁん……なんで僕ばっかこんな目に……」

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