ふたりだけで



ここは難攻不落の雪山K3。彼らはもうすぐ多くの登山家が散っていった、この雪山の頂に立とうとしていた。
ポポ「もう少しだね……ナナちゃん、大丈夫?少し休もうか?」
ナナ「あ、ううん、大丈夫…」
ポポ「そう……無理しちゃ駄目だよ?」
ナナ「うん、ありがとう……」
小さな登山家はお互いに励ましあいながら、ゆっくりと、しかし確実に頂上へとその体を運んでいった。順調に事が推移すればあと20分ほどで頂上にたどり着く……たどり着く、はずだった。
ポポ「いよいよだね………」
ナナ「うん…もうすぐ…」
しかし、最後の最後で彼らは天運に見放されてしまった。ポポが手をかけていた足場が、無情にも突然崩れた。
ポポ「!」
ポポは体が突然宙に浮いたかと思うと、叫び声をあげる暇もなく、次の瞬間山肌に叩きつけられた。パキッ、と、いやな音がした。
ポポ「いたっ…足が……ああっ……ああ…!」
ナナ「大丈夫?」
あわてて山肌を伝って降りてきたナナが不安げにポポの顔を覗き込む。ポポは彼女に余計な心配をさせないように、脂汗を拭いながら、努めて笑顔で答えた。
ポポ「うん、全然平気さ……心配ないよ…」
ナナ「ほんとに大丈夫なの…?ちょっと見せて……きゃっ!血が出てるよ…………と、とりあえず手当てをしないと…」
ポポ「だ、大丈夫だよ…このままでも…」
ナナに迷惑をかけたくない一心から、痛む足に鞭打って無理に立ち上がろうとするポポ。そんな彼の気遣いが痛いほど分かるナナは、ハンマーを杖がわりにして立っている彼の両肩を優しくつかんで、諭すように言った。
ナナ「だめだよ、無理しちゃ…これ以上悪くなったらどうするの?ちゃんと手当てしなきゃ駄目だよ?」
ポポ「……………うん…」
ナナはごめんね、と付け加えた彼の足を包帯でぐるぐる巻いて、端っこをテープでがっちり止めた。
ナナ「よし、とりあえずこれで大丈夫……あまり右足に負担をかけないようにね」
ポポがこっくりとうなづく。
ポポ「ありが…と、それじゃあ行こうか……もう少しで頂上だ……さ、がんばろう……」
ポポはそういって彼女の手をとろうとしたが、ナナはそれに答えず、代わりにあのねと呟き、上目使いでポポを見た。
ポポ「ナナちゃん?」
ナナ「………ポポ君」
ポポ「ん?」
ナナ「私……今回は諦めた方がいいと思うの…」
ポポ「え…?」
ナナ「だから、ポポ君の足の具合いが悪そうだから、今回は頂上を目指すのは諦めて下山したほうがいいんじゃないかなって…」
ポポ「え、だ、だめだよ、せっかくもう少しで頂上なのに!」
ぷんぷんと頭を横に振るポポ。自分のミスのせいでナナの経歴に傷をつけるなんてことをしてしまったら、心苦しさで押し潰されてしまいそうだった。
ナナ「でも、ポポくんのその足じゃ……危ないよ!」
ポポ「だ、だいじょ……ああっ…!」
ポポの足に激痛が走った。風が傷に染みた。
ポポ「んううっ…!」
ナナ「ほら……」
ポポ「大丈夫だって、大丈夫だからあ…」
ナナ「だめだよ、無理していったら死んじゃうかもしれないんだよ!」
普段声の小さいナナが精一杯声を張り上げて言うと、ポポは気圧されて言葉をごにょごにょと濁らせた。
ポポ「でも……せっかくここまで来たのに……そんなの……悔しいよ」
ナナ「ポポくん…ポポくんどうしてもいいから頂上まで行きたい、っていうなら…わたしは最後までポポ君に着いていくけど……でも…わたしはこんなところで死んじゃうのは…いやだよ」
ポポ「……」
ナナ「だって……今死んじゃったら……寮のみんなにも会えなくなっちゃうし…ポポくんとも離れ離れになっちゃうんだよ?そんなの耐えられないよ……もっとずっと一緒にいたいよ」
ポポ「……」
ナナ「だから……私のためを想ってくれるなら…降りて…お願い」
ナナの目は涙で滲んでいた。ポポは己のワガママで彼女の未来まで奪おうとしていた自分が情けなかった。申し訳なくて、恥ずかしくて、涙があふれてきた。
ポポ「ナナちゃん…うっ…うっ……うううっ……ごめん……ナナちゃんの気持ちも考えないでワガママばっかり言って………本当に僕は……」
ナナ「ポポくん…」
ポポ「………さあ、僕らの体力がなくなっちゃう前に早く行こう…」
ナナ「うん……さ、行きましょ……」
ポポが少しでも楽になるようにと、肩を貸すナナ。
ポポ「ごめんね…………僕が怪我さえしなければ……」
ナナ「仕方ないよ…怪我が治ったらまた来ましょ」
ポポ「うん……」
しかし、怪我をしている状態で下山をするのは容易ではなかった。吹き付ける風は、振り続ける雪は足を引きずって歩くポポ、自分と同じ体重の彼を支えて歩く ナナの体力を確実に奪っていった。痛みは怪我をした右足から左足、さらには背中、腰、腕と全身に伝染していった。だんだん二人の歩くペースが遅れてきた。
ポポ「あ、いたた…」
ナナ「大丈夫…?ゆっくりでいいよ、頑張って…」
それでもしばらくは彼女に励まされながら歩いていたポポだったが、やがて視界がおぼつかなくなり、体の痛みもピークに達した。もう体の感覚は当になくなっていた。全身が痛かった。
そして……
ポポ「うわっ……!」
とうとう立っているのもままならなくなったポポは、力なくへたへたと冷たい雪の上に倒れ込んだ。
ナナ「あ、ポポ君…しっかり、ほら、立って…」
ナナはそういうと小さな手を差し延べたが、ポポは黙って首を振った。
ナナ「えっ?」
ポポ「ナナちゃん…」
ナナ「なに?早くしないと…」
ポポ「ごめんね……僕……もう駄目だ……もう歩けないや……」
ナナ「そんな…!そんなこと言わないで……頑張ってよ!はら、立ってよ!早く!ねえ!」
ナナがそう言ってポポの襟をつかんで必死に訴え掛けても、ポポは力なく微笑むだけだった。
ポポ「ごめんね…本当にもう……息をするのも苦しいんだ…ここから先は一人で…行ってくれ…」
ナナ「いや……一人でなんていやだ!」
ナナは半狂乱になりながら必死にいやいやと首を振る。ここで別れるなんて、彼女にはできなかった。
ポポ「ナナちゃん…」
ナナ「ポポくんが動けないなら……私もここから動かないもん……絶対に、離れないんだから……」
ナナはそういうと、ポポの横にころんと倒れて、涙を流しながらにっこりとポポに微笑んだ。ポポの胸が痛んだ。全ては自分のせいだ、という気がした。
ポポ「……ごめんね、最後の最後まで足を引っ張って…………」
ナナ「ううん、もういいよ、そんなこと……私も、すごく疲れてたんだ……」
ナナがポポの体にぎゅっと抱きつく。なんだか暖かいような冷たいような不思議な感じがした。せめてもの罪滅ぼしにと、ポポも彼女をしっかりと抱きしめ返した。
ナナ「あっ……」
ポポ「ごめんね……ちょっと気になってたんだ、今まで一杯ナナちゃんに迷惑かけたこと………最後に謝れて良かった……」
ナナ「そんな…全然迷惑なんかじゃなかったよ……、っていうか、むしろ嬉しかった……私こそいつもポポ君を困らせるようなことばっかりしてごめんね……」
ポポ「そんな、僕はナナちゃんに頼られるのが凄く嬉しかったよ…だから………気にしないで……そうだ、もし二人とも天国に行けたら…あっちでも僕と仲良くしてくれる?」
ナナ「うん……あっちに行ったら…また家族同士で一緒に暮らそうね」
ポポ「ああ、そっか…天国に行ったらパパたちにも会えるのか…楽しみだね……」
ナナ「うん………」
二人はそのあとしばらく無言でにこにことお互いを見つめあっていた。なぜか不思議と寒くも辛くもなかった。いつものおやすみの時間とあまり変わらない気分だった。
ポポ「……ふぁ……なんか…眠くなっちゃったな…意識が…遠のくなってきたような……いよいよかなあ…………」
ナナ「………そう…気分はどう…?やっぱり……怖い?」
ポポ「ううん、ナナちゃんが隣にいてくれるから、怖くないよ、たいして……………」
ナナ「そっか………良かった……」
???「ア〜、イエ〜!オウOK〜!」
ポポ「ああ……幻聴まで聞こえてきた……ナナちゃん、僕はそろそろ先に…」
ナナ「い、今のは幻聴じゃないよ!近くに誰かいるんだよ!」
ポポ「え?」
ナナはガバッと起き上がり、辺りを見回した。東の空にうっすらと何かが浮かんでいるように見えた。
ナナ「起きて!あの声の人が助けてくれるかもしれないよ!」
ポポ「ああ…」
のろのろと冷えきった体を起こすポポにかまわず、ナナは力いっぱい呼び掛けた。
ナナ「すいませ〜ん!誰かいるんですか?いるなら助けてください!」
ナナの声が聞こえたらしく、その声の主は彼が操作しているなにか―飛行機のようなものをこちらに向けると、こちらに向かってきた。声の主は飛行機のようなものを二人のまえに着陸させた。
ナナ「あ、あの……」
ファンキー「は〜い、ミーの名前はファンキーコングね!オウ、お嬢ちゃんたち、何してるの!?寒いから帰ったほうがいいヨッ!」
ナナ「あ、あとで説明します、早く暖かいところに連れてってください!私たち遭難してるんです!お願いします!!」
ファンキー「おー、ザッツエマージェンシー!それならミーのジャンボでひとっ飛びね!さあ、パッセンジャーたち早く乗るね!」
ナナ「はい!……ポポくん?どしたの?」
ポポ「…………」
さっき起き上がったはずのポポが今は再び雪のベッドの上にいた。何かに満足したような、穏やかな笑顔を浮かべていた。
ナナ「ポポくん……嘘でしょ?」
ポポ「…………」
ポポは無言だった。ずっと無言だった。いくら待っても、無言のままだった。
ナナ「ポポくん…そんな…」
ポポの手を握りながらすすり泣くナナの肩をファンキーが叩く。
ファンキー「ちょっと見せてくらっさ〜い!」
ナナ「え?あ、はい…」
ファンキーはポポをがっしりつかんで抱きかかえると、胸の辺りに耳を当てた。その直後、眉がぴくと動いた。
ファンキー「……むう!」
ナナ「あの…どうですか?大丈夫ですか?大丈夫ですよね!?大丈夫って言ってください!」
ファンキー「ノープロブレム!心臓動いてるよ!」
ファンキーの言葉に安心したナナはその場にへたり込んだ。
ナナ「良かった…」
ファンキー「でも早く医者に見せないとマズイね!お嬢ちゃん、フルスピードで飛ばすからしっかりベルトして!」
ようやく事の重大さに気づいたファンキーが急いでポポをひざに乗せたまま飛行機に乗り込むと、ナナもそれに続いた。
ナナ「はい!お願いします!」
ファンキー「レッツゴー!!!」
ナナ(お願い……ポポくん……助かって……)






ポポが寮に運び込まれると、ファンキーから説明を受けたDrマリオの手により手術が行われた。手術室の前で、ナナは永遠とも思える時間を過ごしていた。涙はとっくのとうに枯れ果てていた。
ナナ「あ、あの…大丈夫ですよねポポ君…助かりますよね…?」
ルイージ「う、うん…大丈夫だよ、ポポ君はそんなに弱い子じゃないよ」
ヨッシー「そうです〜、きっと大丈夫です〜」
場違いなのんきなしゃべりだったが、ずっと神経を張り続けていたうえ、ポポに輸血するために血まで抜いていて見も心もボロボロだったナナにはそれが妙に心地よかった。体が包み込まれる感じがした。
ナナ「ヨッシーさん……」
ヨッシー「だいじょうぶ、ポポ君を信じて」
ナナ「はい……」
ゼルダ「それにしても長いわね…」
キノピオ「そうですね、そろそろ……」
と、そのとき手術室のドアが開いた。色々な器具をつけられたポポがDrの手によって手術室から運び出された。見たこともない彼の姿に、ナナは吐き気を覚えた。
ナナ「うぷっ……!」
ゼルダ「だいじょうぶ?」
ナナ「は、はい、私は……それよりあの……ポポ君は、ポポ君は大丈夫なんですか!?!?」
Drマリオ「う〜…ん、それが、その…ナナちゃんの血を輸血したり、他にもいろいろ出来る限り手を尽したんだけど…その…助かるかどうかは五分五分くらいじゃないかと……」
ナナ「そんな……」
Drマリオ「すまない……」
ナナ「お願い、どんな事でもするからポポ君を助けて……」
ナナがDrマリオの足にすがりついて懇願する。Drマリオは焦燥しきった顔で、ナナの頭を撫でた。
Drマリオ「ナナちゃん…悪いけど俺にできることはもうないよ、こうなったらポポの生命力を信じるしかないよ……」
ナナ「お願い…一人ぼっちにしないで…私を置いてどっかいっちゃ嫌だよ……」
ルイージ「ナナちゃん……ほら、離しなさい」
ナナ「…お願い…お願い…お願い…お願い…これ以上、私から大事な人を奪っちゃいやだよ……」













気がつくと僕はどこかの知らない川の河原で眠っていた。いや、起きていた、と言った方が正しいのかな?まあそんなことはどうでもいいや。それよりここはどこ?

あ、そうか、僕はさっき遭難して死んじゃったんだっけ。ってことはここは天国か…せっかく変なゴリラの人が助けてくれようとしたのに、悪いことしたかなあ。
??「お〜い!」
誰かが川の向こう側から呼び掛けてる。僕は耳を澄まして向こう側の人の声に耳を傾けた。
???「お〜い、ポポ〜!」
あれ?この声、どこかで聞いたことがあるような……あっ!あれは…まさか…!

ポポ「パパ!パパでしょ!」
ポポ父「そうだ!ポポ、聞こえるか!?」
ポポ「うん!」
僕はパパに会えたのが嬉しくて、声を目一杯張り上げて返事をした。パパも嬉しそうに手を振ってくれた。会うのは何年ぶりだろう。
ポポ父「ひさしぶりだな〜!ポポ、聞こえるか!?」
ポポ「うん…パパ…ひさしぶりだね……今からそっちに行くね!」
僕がそう言って川に足を突っ込もうとすると、パパがおもいっきり大きな声で「だめだ!来ちゃいかん!」と叫んだ。僕はびくっと体を震わせて、足を川から引っこ抜いた。
ポポ父「来ちゃ駄目だ、こっちにくるな!」
ポポ「なんで〜!?せっかく一緒になったんだし、一緒に遊ぼうよ〜!」
ポポ父「だめだ!お前は現世に引き返せ…!」
ポポ「え?引き返せって…僕はもう死んじゃったんでしょ?そんなの無理だよ」
ポポ父「違う!お前はまだ完全に死んだわけじゃない!生きるか死ぬかの瀬戸際にいるんだ、だからやり直そうと思えばやり直せるんだっ!だから引き返せ!」
ポポ「…でも」
ポポ父「なんだ?」
ポポ「ナナちゃんに合わす顔がないよ……あんなひどいことしちゃって……それに、せっかくパパに会えたのに……もうさよならなんて嫌だよ………パパあ………」
僕が溢れでる涙を拭いながら消え入りそうな声で言うと、パパは「バカモン!」と僕を怒鳴った。昔はこうやって叱られるたびにめそめそ泣いてママに泣き付いたりしていたけど、今はこの怒鳴り声も懐かしかった。
ポポ「パパ…」
ポポ父「彼女を見捨てる気か!?お前が死んだら彼女がどんなに悲しむか分かってるのか!?彼女をひとりぼっちにして自分だけ家族と暮らそうなんて許されると思ってるのか!?」
ポポ「うっ…………」
ポポ父「ナナちゃんとずっと離れ離れになってもいいのか!?このまま二度と会えなくてもいいのか!?」
二度と会えない…?ナナちゃんに二度と…二度と?
ポポ「い……いやだ!そんなのいやだ!そんなの耐えられないよぉ…………ナナちゃんに会いたいよぉ……」
ポポ父「だったら引き返すんだ………さあ、早く」
ポポ「あうう……分かった………」
ポポ父「川の反対側に歩いていけ、そうすれば現世に戻れるはずだ…」
僕はパパに泣き顔を見られないように、こくんと頭をふった。涙でぐしゃぐしゃの顔を見られるのは恥ずかしかったから。
ポポ「パパ…さっきはわがまま言ってごめんなさい……」
ポポ父「いいんだ、そんなこと…こっちこそさっきは怒鳴ったりして悪かった……父さんも本当はお前と一緒に遊んでやりたいんだ……」
ポポ「僕…ナナちゃんを世界一幸せにするから……応援してね…」
ポポ父「もちろん、わかっている……いつだって俺はお前を応援しているから…幸せになるんだぞ…」
気がつくとパパも泣いていた。その顔を見てるとフラフラそっちに言ってしまいそうだった。僕は未練を断ち切るように、川の反対側に向かって無言で駆け出した。何歩か歩くと、また意識が遠のいていった。仲良くやれよ、というパパの声が、最後の最後で耳にはいった。






ポポ母「あなた……」
ポポ父「母さん、済まなかったな、話をさせてやれなくて…あいつは母さんになついていたから、母さんの顔を見たらたまらなくなってこっちに来てしまうかもしれないと思って……」
ポポ母「いえ、いいんです……あの子とナナちゃんのためですもの…」
ナナ母「ありがとうございます…うちの子のために…」
ポポ母「いえ、どうか気になさらず……ナナちゃんの幸せがうちの子の幸せなんですから、こうするのは当然ですわ」
ナナ母「ありがとうございます…」
ナナ父「……さあ、もどりましょう、お互いの子の幸せを祈って」
ポポ父「はい…さあ、母さん戻ろう」
ポポ母「はい……」










ポポ「ん………んん?んんん?」
ポポはいつも起きてるときと同じように、目をこすりながらゆっくり起き上がると、寝ぼけまなこで周りを見渡した。
ポポ「みんな……」
ナナ「あ……ああ…………」
突然のポポの目覚めに、みんなしばらくぼうっとしていたが、ナナが震える声で叫ぶと、それが合図だったかのようにみんながポポのベッドに駆け寄った。
ヨッシー「ポポく〜ん!よかったぁ〜」
ゼルダ「ポポ君!」
キノピオ「ポポさん!」
ネス「ポポぉ…!」
マリオ「ポポ…良かった…心配させやがって…」
ルイージ「ポポ…ポポ…!」
ポポ「みんな……」
ぽろぽろ涙を流しながら自分の名前を呼ぶみんなの顔を見て、ポポはやっと自分が現世に戻って来れたことに気づいた。自分のためにこんなに泣いてくれる人が居たんだ、と思うと、ポポは胸の中があったかくなった。
ポポ「みんな……」
Drマリオ「良かったな、助かって……寒くないか?」
Drマリオは流石にこういう場面に慣れているだけあって、ビービー泣いてるみんなとちがって、結構落ち着いていた。ポポはちょっと悔しいような気もしたけど、冷静さが頼もしかった。
ポポ「うん…その人は?」
マリオ「こいつは運操業をやってるドンキーの友達のファンキーコングだ、こいつがお前達を偶然見つけて、飛行機でここまで運んでくれたんだよ…運が良かったな、あと30分遅かったらまず助かってなかった…ほら、お礼をいいなさい」
ポポ「うん……お兄さん、ありがとう………」
ファンキー「no problem!HAHAHA!」
ファンキーはぐっと人差し指を立てた。ポポも同じポーズを返した。
マリオ「それからナナちゃんにも良くお礼をいいな、今お前が打っている点滴はナナちゃんの血なんだよ…同じAB型で良かったな」
左腕を見やると、確かに点滴を打つチューブがはいっていた。ポポはなんともいえない、妙な気分になった。
ポポ「そっかあ、ありがとう……なんか変な気分だなあ、ナナちゃんの血が僕の血になるなんて……」
ナナ「ポポ君……助かって…よかったね……本当によかった……」
ナナはずっとポポの胸のあたりに顔を埋めて泣いていた。枯れ果てたと思った涙は、とめどなくあふれてきた。ポポが頭を撫でると、ナナは涙でぐしゃぐしゃになった、それでも世界一愛しい顔でポポに笑顔を見せた。ポポの心がぐっと揺らいだ。
ポポ「そうだね…これでまた一緒にいれるね……」
ヨッシー「よかった…二人が無事で…」
ゼルダ「ええ…よかった…二人が助かって……よかった……本当によかった…」
ルイージ「ポポ…お願いだから…無茶しないでよ…」
キノピオ「そうですよ……僕らがどれだけ心配したか……」
ポポ「ごめんね………みんな心配させて………それと……ありがとう……みんな…僕なんかのことを……心配してくれて…………泣いてくれて………ふう」
Drマリオ「おっと、ちょっと疲れてきたみたいだな、そろそろ話すのはやめて寝かせてやったほうがいいから、みんな、悪いけど一旦外に出てくれ」
ゼルダ「わかりました…さ、みんな行きましょ、ポポ君、それじゃあ……」
ポポ「ん……」
ゼルダ「さ、行きましょう」
一同「は〜い……」
ナナ以外の面々は口々に喜びの言葉を発しながら、部屋の外へ出て行った。
ポポ「あの…」
マリオ「なんだ……?」
ポポ「休む前にちょっとだけナナちゃんに話させてください…凄く大事な話があるんだ」
ナナ「え…?」
Drマリオ「え、それはちょっと今は………」
ポポ「おねがい、とっても大事な話なんだ、今どうしても話しておきたいことがあるんだ……今話しておかないと…駄目なんだ」
Drマリオ「…わかった、五分だけだぞ」
ポポ「ありがと…」
Drマリオはそう言ってポポのおでこに手を当て一度頷くと、みんなを追うように部屋の外に出て行った。


ぱた…とドアが閉まった。
僕はマリオさんが出て行くのを見送ってから、ナナちゃんのほうに向き直った。今ならいえる気がした。
ナナ「どうしたの?私に話って…」
ポポ「あの………その……お礼が言いたかったんだ、あの時は謝ってばっかりだったからさ……」
ナナ「お礼?」
ポポ「うん……ナナちゃん、今までいろいろありがとう…試合の肝心なとこでミスをした僕を嫌な顔一つせず励ましてくれて…怪我した僕をおんぶして麓まで運んでくれて……おいしいごはんを作ってくれて……笑顔でいてくれてありがとう」
僕は言い終わると、布団の中に顔をうずめて足をばたばたさせた。鏡を見なくても自分の顔が真っ赤になっていることが分かる様な気がした。すっごく恥ずかしかったけど…言えてよかった。言えなくて後悔したまま死んじゃうよりいいもんね。
ナナ「ポポくん…あの…」
ナナちゃんが何かいいたそうににしているみたいなので、僕は布団から顔を半分だけ出した。ナナちゃんの顔も真っ赤だった。お互いしばらく照れ照れしながら顔を見合わせていていた。
ポポ「ふふふ…………」
ナナ「えへへへ………」
ポポ「ふふ……あ、そうだ……なあに……?」
ナナ「あ、あのね……………」
ポポ「うん?」
ナナ「私こそありがとう……泣いている私の話をいつも真剣に聞いてくれて……いじめられてる私を体を張って助けてくれて……他にも…崖から落ちそうになっ た時は助けてくれたし、おねしょした時はいつもかばってくれたし、失敗した料理も全部残さず食べてくれたし…ありがとう」
僕はまた顔が真っ赤になった…けど、今度はそれと同時に涙まで出てきた。ナナちゃんが喜んでくれてたことが、すごく嬉しくて……泣き顔を見られるのは恥ずかしかったけど、ナナちゃんをずっと見ていたかったから、もう顔は隠さなかった。
ポポ「ナナちゃん……そんなふうに思ってくれてたなんて…気づかなかったよ……僕…ナナちゃんの役に立ててたんだね…よかった」
ナナ「私も…ポポ君の役に立てていてよかった…」
気づくとナナちゃんも泣いていた。何をするときも僕たちは一緒なんだなあ………よし、このままなら言えそうだ!よし、言うぞ!!
ポポ「それと…もう一つ大事な話があるんだ、前々から言いたかったんだけどなかなか言い出せなくてさ……でもさっきナナちゃんがああ言ってくれたから、今日こそ勇気をもって言うね…」
ナナ「なあに?」
彼女の顔が近くなる。うう、どきどきするなあ…
ポポ「あのね……うん…えっと……僕は……あの…ナナちゃんが大好きで、いつも一緒にいたいから…だから…こんな……ろくに頼りにならない僕でよかったら………これからもずっと一緒にいてください、お願いします……」
きゃー!言っちゃった……!言っちゃった!ナナちゃんの様子は…?
ナナ「………」
あ、あれ?ナナちゃんはなんだか知らないけど、ますます凄い勢いで泣き出しちゃった。なんか僕、まずいこと言っちゃったかな?
ポポ「だめ……かな?」
ナナ「あ、いや、あの……違うの…嬉しくて……………こちらこそ…………こんな怖がりで泣き虫な女でよければ………ずっと一緒にいてください……ずっと着いていきます」
僕は天にも昇る気持ちになった……もう死んでもいい……いや、死んじゃ駄目だ!生きてナナちゃんを幸せにしなきゃ、パパに怒られる……僕は彼女の手を握った。
ポポ「………これからもよろしくね」
ナナ「うん……」
ポポ「……えへへへへ………」
ナナ「ふふふふふふ………」
ポポ「ふふ……ナナちゃん、何がおかしいのさ」
ナナ「ポポ君こそ、どうしたの…?うふふ…」
気分がふわふわしてなんだかよく分からなかったけど、なんだかすごく幸せだった。ずっとこうしていたかった。けど……
Drマリオ「はい、五分経ったぞ〜!」
ポポ「わあああ!」
ナナ「きゃあ!」
Drマリオ「ん、んん?どうしたんだ?」
ナナ「な、何でもありません!失礼しましたっ!」
マリオ「あ、おい…まーいいか、ポポ…なんだ、寝ちゃったのか」
こんなとこ見られたら病気だと勘違いされそうだった。僕はマリオさんに背を向けた。
ポポ「パパ、僕やったよ……」僕はそう呟くと、またしばらくの眠りについた。夢の中でならパパ達と遊んでもだいじょうぶだよね…なんて事を考えながら、ね。

Tweet


スマブラ小説トップに戻る

トップページに戻る