二人の一日 その9


午後11時15分。布団に入ってから30分程度たったが、ポポはまだ寝つけずにいた。
ポポ(んん…ナナちゃん静かだな……珍しく僕より先に寝つけたのかな?…ちょっと話しかけてみよう……)
ポポ「ナナちゃん…寝た……?」
ナナ「……」
ナナは目を閉じたまま、すうすうと静かに呼吸をしている。
ポポ「寝た…の……?」
ナナ「zzzz……」
ポポ「もう寝ちゃったのか……いろいろお話したいこととかあったのにな〜……」
ナナ「ううん……」
ポポ(あっ……起こしちゃったかな?)
ナナ「zzzz……」
ポポ「ふう、大丈夫か………しょうがないな、電気消して目ぇ閉じてよう……」
そういってポポが電気のスイッチに手をかけたそのとき――
ナナ「あっ、待って……」
ナナが目を閉じたままポポの手をとる。
ポポ「…え?起きてるの?」
ナナ「zzzz…………」
ポポ「なんだ、寝言か……」
そう言って、ポポが再び電気のスイッチに手をかけると――
ナナ「あ、ダメ……」
ポポ「え?」
ナナ「zzzz……」
ポポ「なんだろ…やっぱり寝言だよね……でも…電気はつけとこ」
ナナ「……ありがとう……」
カタッ…
ポポ(なんだろう……?寝たふりして僕をからかってるのかな…?でもそんなことするような子じゃないし………ちょっと試してみよう……)
ナナが寝たふりをしているのではないかと踏んだポポは、ちょっとしたいたずら?をすることにした。
ポポ「ねえ、僕のこと………好き?」
ナナ「………ん………」
ナナは目を閉じたまま小さく頷いた。
ポポ「そう…ありがとう………どのくらい?」
ナナ「………」
ナナは答えなかった。しかしそのかわりに、その短い手をいっぱいに大きく広げた。
ポポ「……う(照)」
ナナ「………」
ナナはこんなことをしているポポに気づかずに、すうすうと静かな寝息を立てている。
ポポ「じゃあ……もし…もしも僕が……その……死んじゃったら……どうする……?」
ナナ「………」
ナナはなにも答えなかった。その代わりに大粒の涙をぽろぽろと流しはじめた。
ポポ「わっ…!ご、ごめん、変なこと聞いちゃって、僕はどこにも行かないから………」
ポポのこの言葉が伝わったのか、ナナは涙を流すのをやめてくれた。ポポはナナを起こさないように、頬を伝わった涙をハンカチで優しくふいた。
ポポ「よかった……変なこと聞いてごめんね……」
ナナ「……ん……」
ナナが目を閉じたまま、少し悲しそうに答える。
ポポ「本当にごめんね…でもいつまでもこんな事してないで早く寝ないと……ちょっとトイレ行ってこよう……」
ナナ「zzzz……」
ガラッ。
ポポ「なんだ…?気のせいかな…誰かドアを開けたような気がしたんだけど………」
不審に思ったポポはドアを開けてあたりを見渡した。しかし誰もいない。
ポポ「気のせいか……早くトイレいってこよう」

一方、居間では―――
キノピオ「姫様、確認してきました……」
ピーチ「あら、お疲れ様…二人とももう寝てた?」
キノピオ「それが……ナナさんはもう寝ていたみたいなんですが……その枕元でポポさんがなにかぶつぶつ言ってたんです……」
キノピオが困ったようにピーチの顔を見つめる。
ピーチ「あら……どうしたのかしら……?なにか深刻な悩みでもあるのかしら……なにか心当たりない?」
こういうとピーチは首を傾げてしまった。
キノピオ「たぶん……今日の晩ごはんの当番を忘れていたことを気にしているのかと……」
キノピオは自信なさ気に答える。
ピーチ「そっかあ……あの子も意外と傷付きやすい子なのよね……明日それとなくうまく励ましてあげないとね」
キノピオ「そうですね…」
ピーチ「私もちょっと様子を見てくるわ」
キノピオ「はい、足元が暗いですからお気をつけて…」

一方、再び寝室―――
ポポがトイレから戻ると、ナナが目を覚ましていた。しかしその表情はいつもの物ではない。彼女は今にも泣きそうな表情で座りこんでいたのだ。
ポポ「どっ、どしたの?……怖い夢でも見ちゃった?……それとも、その…おねしょしちゃったとか……」
ポポが言葉を選びながら慎重にたずねる。
ナナ「あっ……ポポ君……よかった……」
ナナがポポの言葉を遮るように呟いた。その声はかすかに震えていた。
ポポ「な、なに?何があったの?」
ナナ「さっき……あの……ポポ君が…私を置いて…死んじゃう夢を見たの……」
ポポ「え……?そう………そうなんだ……」
ナナ「それで……怖くなって飛び起きたら…隣にポポ君がいないから………まさかって思って………それで………それで………」
そこまで言うとナナは緊張の糸が解けたのか、ポポの胸にしがみついて泣き始めた。
ポポ(僕が枕元であんなことを聞くから……)
ポポは自分の胸で「よかった、よかった…」と言いながら泣きじゃくるナナを見ながら、自分のした行動を心底後悔していた。
ガラッ。
ナナ「よかった……ポポ君……」
ナナはまだポポの胸元で泣いている。
ポポ「ごめん……」
ナナ「え……?」
ナナが潤んだ瞳でポポの顔を見上げる。
ポポ「ごめん……僕のせいで………」
ナナ「……?ポポ君のせいじゃないよ………」
ナナは何を言っているのか分からない、という顔できょとんとしている。
ポポ「違うんだ、僕が……」
ガタッ……
ポポ「ん?」
ナナ「今の音……なに?誰か来たの?」
ポポ「さあ…?ちょっと見てくるね……」
ポポは今の音の正体を確かめるために、ナナの肩を優しくたたいてから、ドアを開けて廊下を見回した。しかし、またしても誰もいない。
ポポ「何だろう……?誰もいなかったよ……」
ナナ「やだ……まさかおばけとかじゃ……」
ナナがおびえた目でポポの顔を見つめる。
ポポ「まさか……いや、でも……こんなことがさっきもあったような……」
ナナ「やだ、やめてよ……」
ポポ「うっ……」
ナナがあまりに怖がるので、つられてポポも怖くなってしまった。
ナナ「怖いから……一緒に寝よう……ね?」
ナナが肩を寄せてくる。
ポポ「うん……じゃあ今からそっち行くね……」
そういうとポポはナナのすぐ隣に布団を寄せ、横になった。しばらくの間ふたりはおばけ?の恐怖に震えながら肩を寄せ合っていた。しばらくすると落ち着いてきたポポは、まだ不安そうにしているナナを落ち着かせようと話しかけた。
ポポ「ナナちゃん、大丈夫だよ……僕がいるから…」
ナナ「うん…」
ポポ「…あ、そうだ……ナナちゃん、ちょっと聞いてほしいことがあるんだ……」
ナナ「…なーに?」
ポポ「じつは………」

一方再び居間―――
ピーチ「ただいま……」
キノピオ「あ…どうでした?」
ピーチ「それが…ナナちゃんがポポ君の胸で泣いてて……どうたらいいのかわからなくなっちゃって帰ってきちゃった…」
キノピオ「ほんとですか?」
ピーチ「ええ……二人ともどうしちゃったのかしら…?だれかに教えるべきなのかしら…?」
ピーチは困ったように考え込んでしまった。
キノピオ「そうですね…ゼルダさんは外出されてますし……」
キノピオも困り顔だ。そこに―――
サムス「どしたの?」
ピーチ「あ、よかった、ちょうどいいところに…」
サムス「なーに?」
ピーチ「実はね………」
ピーチはこう切り出すと、先ほど見た出来事を包み隠さずにはなした。

みたび寝室―――
ナナ「え〜?寝ている私とお話してたの?」

ポポ「うん……それで僕が変なこと聞いちゃってナナちゃんを泣かせちゃって……ごめんね……」
ナナ「あ、ううん、正直に言ってくれてありがとう……でも…全然気がつかなかった……私なにか変なこと言ってなかった?」
ポポ「ううん、何だか分からないけどけっこう普通にお話できたよ?」
ナナ「そう……なんかおかしいね……ふふ」
ナナはそう言うと控えめにくすりと笑った。
ポポもついつられて笑顔になる。それからしばらく二人は顔を突き合わせながら、意味もなく笑っていた。

サムス「あら……ホントに…?そんな事があったの?」
キノピオ「ええ……見に行ってみましょうよ…」
サムス「そうね、行きましょ」

ナナ「あ…もう12時だよ…」
ポポ「ホントだ……いい加減寝なきゃ……」
ナナ「そうだね……なんか眠くなってきちゃったし……」
ナナが小さく伸びをしながらいう。
ポポ「そうだね、それじゃあおやすみ…もう怖くない?……」
ナナ「うん、もう大丈夫だよ、ありがとう……おやすみ……」

ガラッ…
サムス「なんだ…二人ともおとなしく寝てるじゃないの……」
ピーチ「あら?ホントだ……おかしいわね」
キノピオ「確かに見たんですけど……」
サムス「そう言われてもねえ……実際今二人はこうして寝ているわけだし……」
サムスは不審そうな顔でピーチとキノピオの顔を見つめる。
ナナ「ん……ううん……誰です?」
ナナが目をこすりながら体を起こす。
ピーチ「あっ……起こしちゃった?」
ナナ「……あれ……みんな…そんなところでなにしてるの?もう寝るの?」
ナナが首をかしげながらたずねる。
ピーチ「え…ええ!そうなのよ……ね?」
キノピオ「はっ、はい…!」
ナナ「そう……それじゃあ……ちょっと悪いけど……おトイレ行くから…誰かついてきてほしいんだけど…いいですか?」
キノピオ「はっ、はい!僕がお供します!」
ナナ「すいません……」
キノピオ「いえっ!お構いなく!さっ、行きましょう」
そういうとキノピオとナナはトイレのあるほうへ向かっていった。

ピーチ「何だったんだろう……さっきの?」
サムス「見まちがいじゃないのお?」
ピーチ「そんなはずはないわよ…!確かに見たんだもん…」
ピーチが必死に言う。
サムス「ふ〜ん……でもねえ……」
サムスがいたずらっぽい目でピーチの顔を見る。そんなことをしているうちにふたりが帰ってきた。
ナナ「ただいま…どうしたの?何のお話してるの?」
ピーチ「いや、別になんでもないわよ?それより早く寝なさい、もう12時回ってるわよ」
ナナ「はい……キノピオさん……ありがとう……」
キノピオ「いいえ、どういたしまして♪それじゃあおやすみなさい」
ナナ「おやすみなさ〜い……」
サムス「私もおやすみ〜」
ピーチ「おやすみなさ〜い」

日付け変わって12時45分。
ナナ「みんな寝つきいいなあ……」
キノピオ「あれ…眠れませんか?」
キノピオがナナのほうを見る。
ナナ「はい………」
キノピオ「じゃあ暇潰しにクイズでもだしますね…」
ナナ「えっ…?あ、はい…」
キノピオ「朝起きたときは四つで、お昼になったら八つに増えて、夕方に一旦三つに減るけど、夜に五つになるものな〜んだ?」
ナナ「えっ……急に言われても……う〜ん……ちょっと考えさせてください」
キノピオ「はい、どうぞ♪でも難しいですよ」
ナナ「う〜ん……何だろう……う〜んと……えっとお……」
ナナは考えた。考えに考えた。しかしいっこうに答えが浮かばない。
ナナ「う〜ん……わかんないよぉ…キノピオさん、ヒントください…」
キノピオ「え……?それはダメです、ちゃんと自分で考えてください♪」
ナナ「え〜?…分かりました……」
ナナは再び考えた。考えに考えた。しかしさっぱり分からない。難しいことを考えているうちにやがて眠くなってしまったナナは……
ナナ「zzzzz……」
キノピオ「あ……よしよし、眠れたみたいだ……」
キノピオはナナが寝つけたのをみて小さくつぶやいた。そのキノピオの細い腕を誰かがつかんできた。
ポポ「ねえ……」
キノピオ「あ…起きてらしたんですか?」
ポポ「うん、さっきから…今のクイズの答えな〜に?気になって眠れないよぉ…」
キノピオ「答え…ですか?…その……実は…ないんですよ…」
キノピオは申し訳なさそうに言った。
ポポ「……え?どういうことなの?」
キノピオ「その…難しいこと考えればナナさんが寝つけるんじゃないかなあと思って……その…答えがない問題を出したらいいんじゃないかなあとおもって…」
キノピオが言葉を濁す。
ポポ「え〜…何それ〜?考えて損した……」
ポポがぷうっと膨れる。
キノピオ「す、すいません…でもナナさんも寝つけたみたいですし……いいでしょ?ね?」
ナナ「zzzzz……」
そういわれてはポポも返す言葉がない。
ポポ「う〜ん…そう…だね…じゃあ…まあ…いいか…」
キノピオ「でしょ?」
ポポ「うん……ふあぁ〜……ホントのこと知ったら…眠くなってきちゃった……おやすみ」
キノピオ「おやすみなさ〜い……」

午前2時45分。
ゼルダ「ただいま〜…ってもうみんな寝てるわね…おやすみなさ〜い……」
ばたり。

午前4時。
サムス「ん…まだ4時か…まだ寝れるわね…」
ばたり。

午前6時半。
キノピオ「ふあ……もう朝か……う〜ん…もうちょっとだけ寝ちゃえ……」
ばたり。

午前7時。
ピーチ「…あら……まだだれも起きてないわね……じゃあもうちょっと……」
ばたり。

午前7時45分。
キノピオ「うん……んっ…?やばっ!もうこんな時間か…そろそろいい加減起きなきゃ姫様に怒られる…」
むっくり。

午前8時。
ナナ「…ん…もう8時だ…ポポ君、起きて…朝だよ…」
ポポ「……う〜ん……ん〜…う〜ん…」
ナナ「おはよう、朝だよ、起きて!」
なかなかおきないポポの体をゆする。
ポポ「うん…わかった…今…起き…う〜ん…」
ナナ「ポポ君…ほら、つかまって!」
ポポ「ん…ありがとう…」
ようやくポポはまだ眠そうな目をこすりながら立ちあがった。
ポポ「おはよう……う〜ん……」
ナナ「ポポ君、しっかりして…そうだ、顔洗えば目がさめるかも…ね、そうしよ?」
ポポ「ん〜………」
ナナはまだねむたがるポポの手を支えながら、洗面所へ。
そして洗面所につくと、まだ眠そうなポポを尻目に、蛇口をひねって、手袋をはずし、手で水を掬おうとしたナナだったが…
ナナ「きゃっ…!冷たい……」
予想以上に冷たい水に驚きながらも、ナナはぱしゃぱしゃと顔を洗う。
ナナ「ふう…ポポ君も顔洗いなよ、目ぇさめるよ?」
ポポ「ん…」
ポポが目をこすりながら蛇口の水にゆっくりと手を伸ばす。
ポポ「うわ!つっ、冷たい………ひい〜」
ポポもばしゃばしゃと顔を洗う。
ポポ「ふう、さっぱりした……」
ナナ「どう?目ぇ覚めた?」
ポポ「うん!………それじゃあナナちゃん、今日も一日よろしくね!」
ナナ「うん!」
ぐう〜……
ナナ「あっ………」
ポポ「あっ……?おなかすいちゃった?」
ナナ「うん……」
ポポ「それじゃあ…ごはんにしよっか?」
ナナ「…うん!そうしよう!」
こうして二人の新しい一日が始まる――

おしまい。


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