二人の一日 その5


午後4時半…
ポポ「ねえナナちゃん、今から近所の本屋に行ってくるんだけど、一緒に行かない?マリオさんも一緒なんだ♪」
ポポが楽しそうにたずねる。
ナナ「一緒に行きたいんだけど…今からちょっとやらなきゃいけないことがあって……ごめんね……」
ポポ「あ…そうなの?残念だなぁ…それじゃあ、なんか買ってきてほしいものある?」
ナナ「う〜ん…じゃあ、お金があったらこの本かってきてくれる?」
そういうとナナはポポにメモ用紙に何かを書いて渡した。
ポポ「分かった、それじゃ行ってくるね」
ナナ「あ……いつごろ帰ってくる?」
ポポ「う〜ん……午後6時くらいになるかな?あんまり遅くならないようにはするけど…」
ナナ「そう…なるべく早く帰ってきてね?」
ナナが遠慮がちに言う。
ポポ「分かってるって!それじゃいってきま〜す」
ポポが明るく答える。
ナナ「うん、いってらっしゃい、気をつけてね〜」
それにつられてナナの声も明るくなる。
ポポ「うん、じゃあね〜」

ポポが外に出ると、マリオがすでに待っていた。
ポポ「おまたせ〜、待たせちゃった?」
マリオ「いや……それよりナナちゃんは?」
ポポ「なんかやることがあるから行けないんだって…」
マリオ「そっか…残念だな」
ポポ「うん…ま、しょうがないよ、早く行こう!」
マリオ「そうだな、さっさと済ませるか…ところで何が買いたいんだ?」
マリオが尋ねると、ポポは照れくさそうに答えた。
ポポ「えっとね…実は新しくでたお料理の本が欲しいんだ……」
マリオ「え?なんで?料理の勉強でもするのか?」
ポポ「うん…ナナちゃんにいつも作って貰ってばっかじゃ悪いから……いつかお返ししようと思って……」
ポポが照れ笑いを浮かべながら答える。
マリオ「へえ〜、偉いじゃん…」
感心したようにマリオが言う。
ポポ「えへへ…」
マリオの言葉にポポの顔が少し赤くなる。
マリオ「……ところでお金はあるのか?」
ポポ「う……実はあんまり……それで……」
ポポが上目使いでマリオの顔を覗きこむ。
マリオ「だったら代わりに払ってやろうか?あんまりお金持ってないんだろ?」
マリオがポポの頭をフードの上から撫でながら言う。
ポポ「え…?いいの…?ありがと〜」
マリオ「とか言って、最初っからおごってもらおうと思ってたんじゃないのか?」
マリオが意地悪な質問を投げ掛けると、ポポは困ったように答えた。
ポポ「あはは……バレた?ごめんね」
マリオ「いいさ、その年で金持ってる方がどうかしてるしな……それより早く行こうぜ」
ポポ「うん!」

一方、寮では…
ナナは鼻唄を歌いながら庭の花に水をあげていた。
ナナ「〜♪〜♪」
ヨッシー「わあ〜、キレイなお花だね〜」
ヨッシーが間伸びした声で背後から話しかけてきた。
ナナ「えっ、ええ…」
突然後ろから話しかけられたことに少しびっくりしながらもナナが答えた。
ぐううううううぅぅぅ………
ヨッシー「…いい匂いだね〜」
ナナ「たっ、食べないで下さいよ!」
あわててナナがヨッシーと花壇の間に立ち塞がる。
ヨッシー「わかってるって〜」
サムス「あら…ずいぶん綺麗に育ったわね〜…あなたの愛情が伝わったのかもね♪」
サムスも笑顔で話しかけてきた。
ナナ「えへへ…そうかな?」
ナナが照れながら答える。実際、サムスのいうとおり、ナナが育てた花は彼女の愛のおかげで(かどうかは分からないが)とても綺麗に育っていた。
サムス「きっとそうよ、こんな綺麗な花はみたことないわ」
珍しく女の顔をしながらサムスが言う。
ヨッシー「ところでポポ君は〜?」
ポポがいないのを不思議に思ったヨッシーが尋ねる。
ナナ「なんか…マリオさんと本屋さんに行っちゃったみたいなの…はやく帰ってこないかなあ」
ナナがさびしげな顔で言う。その顔はどこか心配げだ。
サムス「ふ〜ん…何か読みたい本でもあるのかしら?」
ナナ「多分…お料理の本だと思うよ…料理の勉強していつか私においしいお料理つくってくれるって言ってたから……」
サムス「へえ…ポポ君ったら、かわいいとこあるじゃない」
ヨッシー「いいな〜、その時は僕にも食べさせてね〜」
ナナ「あっ、はい…大分先になると思うけど…」
サムスはあきれたような顔で言う。
サムス「あいかわらず食い意地が張ってるわね…それよりそろそろ晩ごはん作り始めた方がいいんじゃない?確か今日の当番は私とミュウツーとナナちゃんでしょ?早く行かないとミュウツー怒っちゃうわよ」
ナナ「あっ、そっか、早く行かなきゃ……」
サムス「それじゃヨッシーちゃん、またあとでね」
ヨッシー「は〜い、ばいば〜い」

一方、同時刻、マリオとポポ、本屋にて。
ポポ「えっと…あった、これだ!」
ポポが本棚からお目当ての本をひっこぬいて、大事そうに抱きかかえながらマリオの元によって来た。
マリオ「おっ、見つかったかい?それじゃあ会計に…」
ポポ「あ、まって!」
マリオ「どした?」
ポポ「あの…ナナちゃんにも買い物を頼まれてて……ほしい本があるみたいなんだ……お願い、買って」
マリオ「でもなー………」
ポポ「………駄目なの?」
マリオ「…しょうがねーなー、ナナちゃんの本だけ買っていかないって言うのも悪いし……それじゃ持って来いよ」
ポポのすがるような瞳に、マリオも仕方なく折れた。
ポポ「いいの?えっと…これこれ!」
ポポが笑顔でナナに頼まれた本を持ってくる。やたら分厚い本だ。
マリオ「ん…じゃあ会計に…」
ポポ「あれ?マリオさんもなんか買うの?」
マリオがなにやら怪しげな本を持っているのに気づいたポポがたずねた。
マリオ「あ……ああ……姫には内緒にしてくれないか…」
マリオがあわててその本を後ろに隠す。
ポポ「…はーい」(なんでだろう…)
ポポは不審に思ったが、おごってもらっている手前、あまり深いことは聞かないことにしておいた。
マリオ「じゃあ兄ちゃん、会計頼むわ」
マリオが5000円札一枚を差し出しながら店員に話しかける。
店員はマニュアル通りの挨拶をしてからレジを打ち始めた。
店員「お会計のほう三点で9500円になります」
マリオ「…はあ?」
店員「いや、ですからお会計の方、9500円になります」
マリオ「ちょ、ちょっと貸してくれ」
あまりの高額にあわてたマリオが店員の手から本を奪い取って値段を確かめる。
マリオ(え…ポポのほしがってたこの料理本4000円?ナナちゃんの方は5000円?高え…)
ポポ「どうしたの?」
ポポが心配そうにたずねる。
マリオ「な、なんでもねえよ、心配すんな……(くそっ……痛い出費だ……)」

再び舞台は寮へ。
ミュウツー「…………遅いぞ」
ミュウツーが表情一つ変えずに言う。
ナナ「あっ…ごめんなさい………」
ナナがおどおどしながらわびる。
サムス「ごめんごめん、そんなに怖い顔しないでよ、それより早く料理始めましょ、晩ごはんに間に合わないわよ!」
びくびくしていたナナとは対照的に、サムスは顔色一つ変えずに言ってのけた。
ミュウツー「…………それもそうだな…………」
ミュウツーが相変わらず表情一つ変えずに言う。
サムス「さ、今日は何にする?」
ミュウツー「…………料理は不得意なんだ、任せる」
ミュウツーがぶっきらぼうに答える。
サムス「そう、じゃ私たちで勝手に決めちゃうわね…何にする?」
ナナ「う〜ん…………サムスさんは何がいいの?」
サムス「そうねえ……」
冷蔵庫の中身を確認するサムス。
サムス「卵がいっぱいあるわね……じゃあ、オムライスにでもする?作るの簡単だし………」
ナナ「あ…私はいいけど………ミュウツーさんはどう?」
ミュウツー「…………承知した」
サムス「よし、じゃあ決定ね!」

一時間半後。全員ぶんの料理を一通り作り終え、あとは全員が帰ってくるのを待つだけとなった三人は今のテーブルに腰掛けて他愛も無い世間話に花を咲かせていた。とはいっても、話しているのはもっぱらサムスで、後の二人は聞き役に徹していたのだが。
サムス「あとはみんなが来るのを待つだけね」
ミュウツー「…………そういえば、ポポはどうした?彼も当番のはずだが」
ミュウツーが珍しく自分から話を振ってきた。
ナナ「あっ……………ごめんなさい、当番だっていうこと忘れててお買い物に出かけちゃったみたいなんです…………」
ナナが申し訳なさそうに小さな声で答える。
ミュウツー「…………そうか…………」
ナナ「ごめんなさい…………悪気はないみたいだから……許してあげてください…………」
ナナがポポをかばうように言う。
ミュウツー「…………いや…………気にするな…………ナナ嬢は悪くない…………」
サムス「そうそう、ナナちゃんのせいじゃないわよ?けどポポ君はあとで…………」
そこでサムスが不敵な笑みを浮かべながら言葉を区切った。
ナナ「………あんまり厳しく言わないであげてください………ポポ君、一回落ち込むと結構あとに引きずる方なんです…………そうは見えないかもしれないけど…」
サムス「………考えておくわ」
ミュウツー「…………承知…………」
ナナ「お願いします……」
さらにしばらくすると、おなかをすかしたメンバーが次々に帰ってきた。
カービィ「ごはんまだ?」
ネス「ただいま〜、お腹減った〜」
ファルコン「お、いいにおいがするな」
リンク「おっ…おいしそうですね…」
そして残るは本屋に出かけた二名だけとなった。

ポポ「ありがとー、マリオさん、この本大事にするね」
ポポが笑顔でマリオにお礼を言う。
マリオ「あ、ああ……」
ポポ「どうしたの?元気ないみたいだけど?」
心配そうにポポがたずねてくる。
マリオ「いや、なんでもない……腹がちょっと減ってるだけだ(懐が寒いぜっ……)」
マリオはポポに気を遣わせないような答えをした。
ポポ「そう…ならいいけど…そういえばもうすぐ晩ごはんの時間だね」
マリオ「そうだな、今日は何かな…………………そう言えば、お前今日調理当番の日じゃないか?」
ポポ「………あっ!そうだ、忘れてた!どうしよ…みんな怒ってるかな……」
ポポがおろおろしながら言う。
マリオ「う〜ん…ともかく早く帰った方が良いんじゃないか?」
ポポ「そうだね、急ごう!」
ポポがダッシュで寮の方向へ走っていく。
マリオ「ま、まて!」
マリオもあわてて追いかける。

ポポ「た、ただいまっ!」
息を切らしながら玄関のドアを開ける。玄関にはナナが出迎えにきてくれていた。
ナナ「あっ、おかえりなさい、ポポくん、あの…」
ナナがそこで言葉を区切った。陰からサムスとミュウツーが現れる。
サムス「おかえり〜、遅かったわね〜、え?」
サムスがガンポッドを振りながら黒い笑顔で答える。
ミュウツー「……………」
ミュウツーはいつものように無言だ。
ポポ「あっ、み、みんなっ!その…あの…ごめんなさい!今日当番だってこと忘れてました……」
ポポが震えながら謝る。その様子があまりにおかしかったサムスは、ちょっとポポをからかってみることにした。
サムス「…あとで思いっきりお仕置きしてあげるからね、覚悟しなさい」
サムスが強い視線でポポを睨む。思わずポポは後ずさる。
ポポ「え……そんな…」
ナナ「そんな、だってさっき……それはやめてあげて、なんなら私が変わりになるから…」
ナナがかばうようにポポの前に出る。
ポポ「そ、そんなの駄目だよ!僕が悪かったんだから、僕が…」
ナナ「でも…」
二人のやり取りがあまりに必死だったのがほほえましく感じられたサムスは、とうとうぷっとふき出してしまった。
サムス「やだ、二人とも、冗談よ、そんな泣きそうな顔しないでよ…素直に謝ってる子を叩くようなまねはしないわよ?」
ポポ「え…なんだ…なんだあ……よかったぁ…」
ポポが胸をホッとなでおろす。
サムス「でも、今度からは気を付けなさいね」
ミュウツー「……………二度とこういうことがないようにしてくれ…………」
ポポ「はい……ごめんなさい……(よかった……)」
ナナ(よかった……)
ポポ「ナナちゃんも…ごめんね……」
ポポがナナに頭を下げる。
ナナ「あっ、だいじょうぶだよ、気にしないで!」
あわててナナが返す。
ポポ「それで、これ、頼まれてたやつ…」
ナナ「あっ、買ってきてくれたの?ありがと!…お金あったの?」
ポポ「いや、実はマリオさんに…」
ナナ「あっ?そうなの?ありがとう、マリオさん…」
いつのまにか帰ってきていたマリオにナナがお礼を言う。
マリオ「いいえ、どういたしまして(懐が寒いぜっ……!)ところで、飯は?」
サムス「あ、そうね、みんな待ってるしそろそろご飯にしましょ♪」
ミュウツー「……………ん…………そうだな…………」
マリオ「よっしゃ、メシだメシだ」
マリオが食堂に向かって駆け出す。
ナナ「あっ、だめだよ、ご飯の前には手を洗わなきゃ……」
マリオ「分かってる分かってる!」
マリオが視界から消えると、ポポはもう一度みんなのほうに向き直って頭を下げた。
ポポ「あの……ほんとにごめんなさい………片付けは僕ががんばるから……」
サムス「あら、頼もしいわね……でもほんとにあんまり気にしちゃだめよ……それより早くご飯にしましょ」
ポポ「…うん!」
サムスの言葉に少し元気を取り戻したポポが笑顔で答えて、食堂に向かっていった。
ナナ「あ、待って……」
ポポをおっかけようとしたナナの腕をミュウツーが掴む。
ナナ「な、何ですか?」
ナナが目を丸くしながら聞く。
ミュウツー「驚かせてすまない………………ひとつ聞きたいことがある………」
ナナ「?」
ミュウツーと二人きりで話したことのないナナの頭はまだ少し混乱しているためか、言葉がでなかった。
ミュウツー「…………私の顔…………ナナ嬢にもいつも怒っているように見えるのか?サムス殿に言われてから…………どうも気になってな…………そんなつもりはないんだか…………」
ナナ「えっ…………?」
思いもよらぬ質問に戸惑うナナ。
ミュウツー「………怒ったりしないから正直に言ってくれ…………」
ナナ「…………はい………ちょっと……いわれればそんな感じもします………なんか、いつも眉間にシワがよっていて近づきつらいって言うか…………」
ナナが勇気を出して正直に答える。
ミュウツー「…………やっぱりそうか、ありがとう…………以後、気をつける………」
ミュウツーはナナが正直に答えてくれたことには感謝していたが、それでもやはりどこか残念そうだった。
ナナ「あの………あんま気にしないほうがいいですよ…」
そんなミュウツーの気持ちを汲みとったナナがフォローをいれる。
ポポ「おーい!ナナちゃん!?ご飯だよー!?」
ナナ「あっ……私たちもいきましょう、みんなまってるよ…」
ミュウツー「ああ………すまなかったな………」
ナナ「いいえ……ミュウツーさんって思ったほど怖くないんですね………」
ミュウツー「………そうかな?ありがとう………」
ナナ「いいえ、こちらこそ…ありがとうございます………」

続く。
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