学校の事件/倉阪鬼一郎

倉阪鬼一郎氏の短編集です。架空の地方都市、青山県吹上市を舞台にした作品で、ジャンルは……解釈が難しいですが、一応ホラーってことになると思います。



この作品の一番の特徴は読後感の不愉快さにつきます。田舎特有の、といえるのかどうかは分かりませんが、閉鎖的な世界で起きる恐ろしく不快です。それでいてどこかコミカルでもある、不思議な作品です。



ゆがんだ情熱を蔵書印にかける中年、津山30人殺しを超える大量殺人を目論む殺人鬼、失敗続きで引きこもりと化した教師、田舎の潰れかけの新興宗教の教祖……決してまっとうとは言えない人生を歩んでいる者たちの生き様に悲哀を感じます。



作者の難しい表現を取り入れつつもすらすらと読ませる技術はさすがです。作者はおそらく作品の舞台になっているような田舎をどこか下に見ているというか、馬鹿にしているような感じも受けますが、それを作品にうまく昇華させていると思いました。



グロテスクなシーンがあり胸糞が悪くなるような登場人物も多いため、合う合わないがわかれると思いますが、陰陰滅滅とした雰囲気が好きな方にはお勧めです。

Tweet


書評へ戻る

トップページへ戻る