地底人/いしいひさいち

日も届かない地の奥底に住む地底人。彼らは何も知らず我が物顔で地表を闊歩する人類を支配すべく、雌伏の時を過ごしていた。平和のタイムリミットは、すぐそこに迫っていた……



というようなシリアスさは全くないギャグマンガです。ストーリー全体の流れとしては一応上記の通りなのですが、士気の低い一般地底人と戦前の日本軍のような精神論を振り回す上官、劣悪な住環境のおかげで、地表進行が成功することは決してありません。それでも彼らなりに頑張る姿は、笑いと哀愁を誘います。



すすめーっ!トツゲキーっ!」というセリフが頻繁にできますが、彼らは決して討ち死にすることはありません。なぜなら敵=人類がいる場所まで進めないからです。ある意味では優しい世界ともいえます。



また、タイトル作品以外にもいくつか漫画が収録されて居ます。「探し屋ケンちゃん」は地球を襲った怪獣の弱点を探すために宇宙へと旅立つケンイチ君の物語。いつも役に立たない情報をつかまされては博士に「このアホガキャー」とぶっ飛ばされる姿は様式美です。



転向性」はバカ左翼とバカ右翼が入れ替わってしまう3ページの物語。極端な思想の持ち主はそれと真反対の思想に染まりやすいということを表現した名作です。


ちなみに、同作品には文庫本もありますが、一部の作品がカットされていますので単行本版をお勧めします。

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