所さんのまもるもせめるも アクアク大冒険

所さんはまだ気づいていないようですが、実はたいへんな事件にまきこまれてしまったのです……。

アクアク島の7種の神器とは、"火吹山の目覚し時計"とよばれ、なんとも不思議な力を持ったたいせつなお守として保管されていました。邪悪な科学者、Dr・ジョンはその力を悪用するため、火吹山の目覚し時計を盗みだしました。どうやら世界征服をたくらんでいるようです……ところが、それを所さんがまちがえて持って帰ってしまったからさあたいへん!Drジョンは、「必ず取り返してやるからな」と鼻息荒く、日本へのりこんできました!さらにアクアク島からも、"火吹山の目覚し時計"奪還部隊が到着!東京を舞台に、このアクアク島の7種の神器をめぐって奇想天外な大騒動の始まりです……

この作品の著者はテレビや音楽でおなじみの所ジョージさん。表示も本人(若い!)が飾っており、なんとも時代を感じさせます。

南太平洋にあるアクアク島なる場所から間違えて"火吹山の目覚し時計"なる7種の神器を持ち帰ったものの全部人にあげてしまった所さんが、Drジョンが放った追っ手(レプリカント)から逃れつつ、サンマさん(さんまさんではない)と名前を間違えられたり、酔っ払いに絡まれたりしながらも東京のあちこちを行き来してそれを取り戻し……というのが大まかな流れです。

本ゲームには「お金」と「視聴率」というパラメータが設定されています。「お金」はアイテムを買ったり、あるいはギャンブルに使ったりするという他のゲームブックにもよくあるものですが、「視聴率」は他にはない特徴的な設定になっています。「視聴率」は所さんが周囲からの支持を集めるような振る舞い、芸能人らしい振る舞いをすると上昇し、その逆をすれば下がります。基本的には視聴率が高いほうが有利で、いわゆる「顔パス」が効く様になったり、テレビ局からヘリを借りれるようになったりします。視聴率が低いほうが得をする場面もありますが。

また、舞台が現代で主人公が芸能人ということもあり、敵と剣や魔法で戦ったりすることはありません。あくまで知恵と芸能人らしい人脈などで、次々と襲い掛かってくる問題を解決しなければなりません。ちょっとした手間を惜しんだりすると、思わぬところで墓穴を掘ったりします。ちなみにレプリカントはコーラが弱点のため、水鉄砲でコーラをぶっ放すことにより倒すことができますが、レプリカントと人間は外見だけでは区別がつきにくいので注意が必要です。

文書は口語体で書かれており非常に親しみやすく、難しいルールの戦闘もなく、謎解きも比較的簡単なため、意外と初心者向けな作品です。ただ、明らかに合計パラグラフ数を400にするための調整が入っていたり、ゲームの中の所さんが知らないはずの唄を「私はゲームブックの作者だから」という理由で歌えるようになってしまうなどの強引さもあるため(このパラグラフはクリアに必須なものではないですが)、逆にゲームブックになじんだ人にはとっつきにくいかもしれません。

とはいえ全体的に見れば十分遊べるレベルに達しているゲームだと思います。やる機会に恵まれたら、遊んでみてはいかがでしょうか。(しかし、火吹山の目覚し時計というのは……)

挿絵の1つ。

ちなみにこのゲームブックは昭和62(1987)年7月26日初版発行ですが、その1ヶ月前の6月27日には「所さんのまもるもせめるも」というファミリーコンピュータ版ゲームが発売されています。

タイトルこそゲームブック版と似通っていますが内容はまったく別物で、こちらの東京23区内に居た所さんが所沢市の自宅の娘からテレパシーを受信し、23区、都下を駆け抜けて娘の元へ向かうという2Dアクションゲームです。

ステージは東京23区編【千代田区、新宿区、渋谷区、文京区、港区、品川区、目黒区、世田谷区、豊島区、中野区、杉並区、練馬区】、郊外編【保谷市(現西東京市)、田無市(現西東京市)、東久留米市、東村山市、所沢市】、所御殿から成り立っています。

基本的な操作方法はマリオシリーズと同じですが、敵を踏みつけることはできません。敵と接触すると体力ゲージが減ります。その代わりに最初から持っている水鉄砲で敵を攻撃することができます。ただし水鉄砲には残りの水の量を表すゲージがあり、そのゲージが減ると水鉄砲の弾の飛距離も減っていきます。ゲージがゼロになっても弾は打てますが、ほとんど飛ばずに足元に落ちます。アイテムでゲージを回復させることも可能です。

これだけ読むとそれほどインパクトが強いわけでもない普通のアクションゲームに見えますが、実際は超絶電波&クソゲーです。主な特徴は

・23区編のBGMが電波。
・マスクをした犬、サングラスをしたタコ、空飛ぶクジラなどの謎の敵デザイン。
・23区編には各ステージにボスがおり、そのボスが絶対にかわせないフラッシュ攻撃を放ってくる(攻撃される前に倒せば大丈夫だがかなり難しい)
・ボスを倒すとゴールの扉に入れるが、扉は複数あり、しかも一つの扉ごとにワープできるステージが2つ設定されている。どちらに飛ばされるかはランダムなので、運が悪いと半永久的に先に進めない。
・23区編のいくつかのステージにはマンホールがあり、一部のマンホールは地下ステージにつながっているのだが、どのマンホールが地下につながっているかは見ただけでは分からないため、確かめたいのならば実際に入ってみる必要がある。もちろん地下につながっていないマンホールに入ったらミス扱い。
・ゲームオーバーになると love is over っぽい曲が流れ「Game over かなしいけれど おわりにしよう きりがないから オーヤンカフェ」とのメッセージが表示される。
・郊外編の背景がなぜか山ばかりで、建物は寺のみ。当時のことは知らないが、保谷や田無がそんな田舎とは思えない。
・郊外編に現れる空から降ってくる豚(オトシブタ)は、触れただけで一撃死。
・所御殿のBGMはなぜか沖縄っぽい。そして所さんの偽者が出てくる。
・ラスボスは所さんの奥さんっぽい(確証なし)。なぜラスボスなのか、娘を捕らえているのかなどは一切不明。
・エンディングBGMはゲームオーバー時のBGM(ove is overもどき)と同じ。
・エンディングで助けた娘が怪物化して襲い掛かってくる。
・エンディング画面に「つづく…かもね…」という意味深なメッセージ。実際には特に続かず、タイトル画面に戻る。

などです。なぜこうなったのかは分かりません。正直お勧めできるようなゲームでもないと思いますが、作品自体はオークションなどで比較的容易に手に入れることができるので、興味のあるかたはどうぞ。

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