城砦都市カーレ

王たちの冠を取り戻すにマンパン砦へ向かう道中でシャムタンティの丘を超えたあなたは、今度はジャバジ河を乗り越えるために城砦で周囲を囲まれたカーレを通り抜けねばならない。しかしカーレはうわさの多い街で、聞くところによれば靴紐を取るためだけに殺人を犯すような、ろくでなしのごろつきどもが流れ込んできているという。カーレの住民たちはそのような悪人どもから身を守るために、腐心してさまざまなワナを作り上げた。カーレが「魔の罠の都」と呼ばれているのには、そういう理由があるのだ。あなたはカーレの南門に立ち、どうやってカーレ内に忍び込もうかと思案した……

本作品はソーサリーシリーズの第2弾。舞台はシャムタンティの丘の北に位置する城砦都市カーレです。

カーレにはシャムタンティに繋がる南門とバグランド地帯に繋がる北門の二つの門があり、主人公は南門からカーレに潜入し北門を抜けていきます。南門から侵入するのはそれほど大変ではありませんが、北門から外に出るのは非常に困難です。バクランド地帯の有象無象から街を守るため、強力な魔法の力で閉ざされているからです。

北門の呪文を全て知っているのはカーレ第一の貴人、サンサスのみですが、あいにく彼は外出中なので、作品には登場しません。彼以外にも何人か存在するカーレの有力な貴人らから、一行ずつ呪文を集めていく必要があります。ただし、呪文を知っているのは何も貴人だけではありません。弱者にも情けをかけることが、思わぬヒントになることもあります。

しかし、カーレは非常に危険な街です。下水道にはスライムイーター、地上にはハーピーやレッドアイといった危険な生物が無秩序に存在しており、宿屋に泊まれば主人に命を狙われるわ、しれっと殺人鬼はいるわで心が休まる場所がありません。アズール卿とトロール兵によって曲がりなりにも秩序が保たれているアランシアのポート・ブラックサンドと違い、ここでは皆が好き勝手に暮らしています。この無秩序こそが、カーレ最大の特色といえるでしょう。にもかかわらずなぜか下水道設備は整っています。誰が作ったんでしょうかね。

牢獄と老人。

カーレで出会う人間は基本的に誰も信用すべきではありませんが(それほど危険な所なのです)、街を裏から牛耳っているものと思われるヴィックと、第1巻で一戦交えたフランカーは展開によっては大きな味方となります。彼らの手助け、特にカーレで広く顔が利くヴィックの手助けは十分に受けて置いて損はないでしょう。

さて、ゲームとしての評価ですが、第2巻ということもあり、第1巻「魔法使いの丘」と比べるとニセの魔法の割合は減少しています。読者が魔法を使うことに慣れていると想定して作られているのでしょう。また、魔法に必要な媒体も一巻よりはそろってきています。媒体が必要な代わりに体力ポイントの消費が少ない魔法を状況に合わせて使い分けることが、カーレを無事に抜ける秘訣と言ってもいいでしょう。

全体的に良くできた高難易度なゲームブックだとは思いますが、残念なところもいくつかあります。一つ目はクーガの寺院での「あちらこちらにキスをして」の文言。このヒントから正しいキスの順番を割り出すのは非常に困難です。新訳版では「十字を切って」と翻訳されているらしいのですが……。

もう1つ疑問に思ったのは北門の呪文について。カーレの貴人らからは全部で4行の呪文を教えてもらうことができるのですが、実は読者がズルをすれば4行の呪文のうち1行は知らないでもクリアすることが可能なのです。このあたりは処理として多少甘いと思います。

とはいえ、全体的に見れば優れた作品であることは間違いないと思います。なによりカーレの無秩序さを良く描ききれているのは評価できます。魅力的で危険なカーレ、あなたも訪れてみてはいかがでしょうか。

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