ルパン三世ゲームブック@ さらば愛しきハリウッド

よぉ〜みんな、毎度お馴染みルパン三世だ。今回の獲物は一巻の古い映画フィルム。今からざっと半世紀は前に撮られたって代物だ。この映画、別に有名な監督や俳優のお宝映像ってワケじゃない。傍から見たらただ単に古いだけのフィルムだ。何で俺がそんなフィルムにご執心なのかって?それはまだまだちょっと話せねえな。さ、ともかく次元、ハリウッドに出発だ!

本作品は19作品続いた双葉社のルパン三世ゲームブックシリーズの記念すべき第1段に当たる作品です。ストーリーは至って単純明快で、主人公のルパンが頼れる相棒である次元とともに、ある映画フィルムを盗むために映画の撮影現場にスタントマンとして侵入し、。そこに不二子や五右衛門、果ては銭形警部も絡んできて……というものになっています。

ただ、なぜルパンがそのフィルムに固執するのかはゲームの終盤まで明かされません。そのためプレイヤーはたびたび「盗む目的がはっきりしない状態での選択」を迫られることになります。これはゲームブックとしてあまりよいことではありません。目的がはっきりしない状態では、やる気も出ないというものです。もちろん、ルパンがフィルムに固執するわけを仲間にも明かさないのには、納得の行く理由が用意されているのですが……

また、このゲームには他のゲームブックで言うところの「体力点」「技術点」などに相当する「体力ポイント」「武器ポイント」「情報ポイント」が設定されています。体力ポイントはルパンの体力、武器ポイントは武器の扱いのうまさ、情報ポイントは情報収集に関する能力を現しています。このポイントが命運を分かつようなシーンも少なからず存在しているので、なるべくポイントを減らすような行動は避けましょう……結構ワケの分からないところでこのポイントが上がったり下がったりするので、扱いに困ることもありますが。

挿絵の1つ。全体的に各キャラクターは愛嬌のある顔で書かれている。

一方で方々に気の利いた台詞回しがちりばめられているなど、人物描写には優れており、また毎度おなじみ銭形警部との追いかけっこや五右衛門が斬鉄剣で敵をなぎ払うシーン、次元のガンマンとしての描写などもあり、原作の雰囲気は十分に醸し出しています。ゲーム序盤で出会う粗雑だが気のいいトラックドライバーのアボットコステロ兄弟やいけ好かないアメリカ上院議員のJ・S・カールゼン、謎の警官マシューにハイテンションな映画監督ガーブスリップなど、魅力的な登場人物は評価に値します。ゲーム終盤、ルパン帝国に対して背信行為を行ったJ・S・カールゼンに対するルパンの復讐は多少後味が悪い部分もありますが、アニメシリーズでもそういったエンディングはありましたし……

一方、このゲームブックの最も致命的な欠点は「パラグラフジャンプのミス」がある、というところにあるでしょう。ひょっとするとテストプレイが行われていないのかもしれません。小説としては優秀でも、ゲームブックとしてはいまいち、というのがこの作品に対する正直な評価です。

ちなみに本作品ではゲームオーバーのパラグラフに〈再チャレンジは298へ〉などというリトライのための注意書きがなされています。つまり、一度死んでもちょっと前のシーンから再チャレンジができるわけです。基本的に一度主人公が死んだらそれまでのゲームブックが多い中で珍しい処置だと思いますが、遊んでいて便利だとは思います。

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