ルパン三世ゲームブックM 悪党どもの黙示録

地中海の名も無き離島で、大々的な工事が行われていた。何を作っているのか、施工主が誰なのかは――その土地の人間ですらも知らなかったが、その建設工事の施工主にして現場監督、そして設計技師でもある男は、怪盗紳士アルセーヌ・ルパンの孫、ルパン三世だった。

工事が終わった日に、ルパンは次元と五ェ門を呼び出し、その建設物――今までの盗品を集めた「ルパン美術館」のお披露目会を開くが、ルパンが上機嫌で美術館の完成秘話を話していたまさにそのとき、美術館の警報装置が侵入者を、そして火災発生を知らせる。いったい誰が、何の目的で?ルパンは消火システムを作動し、侵入者の顔を拝みに向かうが……

 
挿絵の1つ。

主人公はおなじみルパン三世。ゲームの目的は、少なくとも当初はルパン1世が建設し、2世と3世が増改築した盗品を保管・展示するための「ルパン美術館」に潜入した不届き物の特定と排除です。物語が進行するとともに、その目的は変わっていきますが。

前半の美術館に入り込んだ賊「バブーン」を探すパートでは、非常に慎重な行動が求められます。不用意な行動をすれば、先代たちが仕掛けた罠にハマって割とあっさりと死にます。

後半はルパンのからある銀貨を盗み出した「バブーン」との追いかけっこです。この銀貨にはある事情で多くの人が群がってきますので、うまくそいつらを出し抜く必要があります。ただ、うそつきは泥棒の始まりといいますが、だからといってあまり嘘をつくのも考え物です。正直な言動が命を救うことがあるということも、頭の片隅にとどめておくと良いでしょう。

文章は全体的に口語、というかルパン口調で書かれており、文章は非常に軽快で読みやすいです。が、残念ながらこの作品には難点も多いです。

まず、前半パートの探索部分は非常に作業的で単調です。何度も美術館の内部を行ったり来たりするというのは、決して面白いものではありません。しかも美術館内部がやたら広く、捜索にはかなりの時間がかかります。盗品を保管する美術館が狭いというのもリアリティがないと思いますが、このあたりはもうちょっとうまく調整してほしかったと思います。

また、キャラクターゲームでありながらルパン以外のメインキャラクター、次元、五ェ門、不二子、銭形らがあまり登場してこないというのも個人的にはいただけません。一応不二子からはクリアに必須なヒントが聞きだせるのですが……。

毎度おなじみ銭形警部。

しかし、このゲームの一番の難点は、ゲームブックの主人公がルパン3世であること自体にあるのかもしれません。

ルパンは皆さんもご存知の通り、常人には思いも付かないような奇想天外な発想を思いつき、厳重に守られた金品や芸術品を盗む技術に長けており、また非常に頭の廻る人間です。が、本作品のルパンにはそのルパンらしい機知や機転を利かせるシーンがあまりありません。寧ろ自分が仕掛けた防犯システムに自分で引っかかったり見知らぬ小箱を不用意に開けて爆発させたりとかなり間抜けな部分が目立ちます。

ゲームブックである以上、主人公が失敗したり死んだりするシーンが多くなるのは仕方ないことなのかも知れませんが、漫画やアニメのルパンに慣れている人は、ここにかなり違和感を感じると思います。ルパンにかかわらず明確な性格設定がされているキャラクターをゲームブックの主人公にするというのが、そもそも難しいことなのかもしれません。ゲームブックの主人公は性格が設定されていない「あなた」であることも多いですしね。

というわけで、全体的に難点の多いゲームではありますが、真の道をうまく通り続けることができればそれなりにルパンになった気分を味わうことができます。ゲームブックファンならば、手元に置いておいてもいいかもしれません。

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