吸血鬼の洞窟

ウィレストンの森深くをさまようあなたの背後で、狼の吠える声が聞こえる。早く身を隠す場所を見つけなければ、たいへんなことになる。やがてあなたはコケと蔦に覆われた背の高い石の壁を見つける。石の壁の一部には鉄格子の狭い門がついており、門の隙間からは荒れ果てた庭が見える。芝生の合間には砂利道がある。この道をたどっていけば、きっと屋敷に当たるだろう。あなたはこの屋敷で一晩を過ごそうと思い、門の掛け金に手を伸ばす。屋敷の中では、野生の狼など問題にならないくらいの恐怖と困難が待ち構えているとも知らずに……

本作品は6作からなる「ゴールデン・ドラゴン・ファンタジィ・ゲームブック」シリーズの記念すべき第1弾。ウィレストンの森をさまよっていた主人公は、あたりをうろつく狼から逃れるために、森の中で偶然見つけた不気味な屋敷にと忍び込みます。屋敷の中で主人公は、ハーカス神父と名乗る男から、この屋敷の地下洞窟にテネブロン卿という名の、悪魔と取引をして吸血鬼となり永遠の生を得た男の討伐を依頼されます。主人公は依頼を快諾し、危険が渦巻く屋敷の奥へと単身忍び込んでいきます。

 
怪しげな館の入り口。

ゲームのルールは非常に簡単で、戦闘もFFシリーズのような複雑さは一切なく、ゲームブック初心者でも簡単に取り組むことができます。その分戦闘の臨場感がなくなっている節もありますが。数あるアイテムの中で特に重要となるのは、ゲーム序盤でハーカス神父からもらえる鉄の意思の薬、もしくは十字架です。これらのアイテムがないとテネブロン卿とまともに対決することすらできません。暗い屋敷の中では、ランタンも大事なアイテムです。

ストーリーも至って単純で、邪悪な存在であるテネブロン卿を正義に燃える主人公が討伐する、というわかりやすい勧善懲悪ものになっています。自分から主人公に何かしたわけでもないのにずかずか自宅に入り込んできた輩に倒されるテネブロン卿が若干気の毒な感じがしないわけでもありません(このあたりは火吹山の魔法使いのザゴールに通ずるものがあります)。ちなみに、テネブロン卿のイラストはゲームブックにしては珍しく見開きで描かれています。

パラグラフ数は290とやや少なめですが、それを思わせないほど屋敷の中は危険に満ちており、主人公は聞くものの精神を侵食する骸骨の音楽やまるで生きているかのように動くロープ、危険な魔女や野蛮人、ホブゴブリンやジャイアント・スパイダー、果ては動く絵など、数多の危険に遭遇することでしょう。その一方でクリアに必須なアイテムは少ないため、あまり危険に首を突っ込まないプレイスタイルのほうが生き残りの確率が高まると思います。テネブロン卿自体は必要なアイテムさえそろっていればそれほどの難敵ではないのですが、出会いがしらの選択肢を間違うとあっさりと死ぬので注意が必要です。

ところで、本書の一ページにあるあらすじを見る限りでは、主人公は「目的を持って自らの意思でテネブロン卿の屋敷に入った」ように取れるのですが、第一パラグラフでは主人公は「狼から身を隠すために、たまたま見つけた屋敷に入った」ように描写されています。どちらが正しいのでしょうか。

Tweet


ゲームブックのトップに戻る

トップページに戻る